嶺南地方に伝わる涼茶鋪さん

次から次へと訪れるお客が、お碗に入った黒い液体をグッと飲み干しては、去っていきます。私は、エイヤッと一口、二口飲んでは、休みます。本当にこんなにまずい飲み物は、生まれて初めて。飲み干す自信がありません。私は、広西壮族自治区の東部にある梧州という小さな町の「涼茶鋪(リャンチャープー)」にいます。涼茶鋪というのは、漢方のお茶屋さんです。広東省と広西壮族自治区一帯をさす嶺南地方では、漢方のお茶を日常的に飲む習慣があり、涼茶鋪が数多く見られます。香港、台湾、タイなどでも見られる涼茶鋪では、さまざまな漢方のお茶を扱っています。

涼茶鋪は、効能が書かれた札とやかんが目印! 涼茶鋪は、効能が書かれた札とやかんが目印!

梧州っ子にとって「福康草約店」の涼茶は生活の一部

梧州で一番有名な涼茶鋪は、「福康草薬店」です。梧州中心部にある1階がアーケード、2階以上が住居になっている騎楼建築の建物が並んでいる繁華街にお店があります。老若男女を問わずに、ひっきりなしにお客がやってきて、入り口に並んでいる「涼茶(リャンチャ)」を飲んでいきます。その場で飲まないお客は、袋入りの牛乳のようにパック詰めされた涼茶をまとめて買っていきます。小学生の子供までやってきて、涼しい顔で涼茶を飲んでいきます。広州でも涼茶鋪は多いですが、小さな子供がやってきて飲む姿は、見たことありません。梧州の食文化の中に涼茶が深く入っていることが、よくわかりました。

福康草薬店(梧州市万秀区大南路47号)の前は、いつも人だかりができています 福康草薬店(梧州市万秀区大南路47号)の前は、いつも人だかりができています

種類によって効果が異なる涼茶

福康草薬店で、みんなが飲んでいる涼茶は、「清熱チー(衣へんに去)湿茶」です。体にこもった熱を押さえ、湿気を取ってくれる働きがあり、肝炎にも効果があると言われています。涼茶は、使われる漢方薬によって利尿作用やのどにいいものなど、効能が異なります。一見、漢方のお茶なんて飲むようには見えない若い男性が、私の目の前で涼茶を飲んでいきました。その彼が飲んだのは、できあいの涼茶ではなく、お店の人に体調を話し、自分のために特別にブレンドしてもらったお茶でした。梧州の人って、見かけによりませんね。こんな若い男性が、コンビニで買ったお茶を飲むかのように涼茶を飲むのです。

こんな風に老若男女がグイッとお碗いっぱいの涼茶を飲んでいきます こんな風に老若男女がグイッとお碗いっぱいの涼茶を飲んでいきます

見た目も味も予想をはるかに超えていた涼茶

そんなに健康にいいなら、私も試してみよう! なにしろ、1杯たった1.5元(約26円)と激安です。冷たいか常温だろうと思っていたのに、飲んでみると、熱い! 余計に独特の嫌なにおいもプンと鼻につきます。そしてお味は、衝撃のまずさ! ここまで苦いとは! 全く想像もしてませんでした。お店の人に「苦くて飲めない」と訴えると、「我慢して飲み干せば、あとから甘さがやってくる」と言ってくれましたが、飲み干せません。結局、ほとんどを残して、私はスーパーに駆け込みました。冷たいジュースを一気飲みして、お口直しです。飲み干したら、本当に甘さがやってきたのでしょうか? 私はダメでしたが、好奇心の強い方は、梧州に行ったら福康草薬店で名物の涼茶をトライしてみてくださいね。感想をお待ちしてます!

この黒い涼茶が清熱チュ(衣へんに去)湿茶です。体のほてりをおさめ、湿気をとってくれる効能があります この黒い涼茶が清熱チュ(衣へんに去)湿茶です。体のほてりをおさめ、湿気をとってくれる効能があります