広州でホテルのはずが連れて行かれたのは…

連れて行かれたところは、ホテルのはずが、古びた共同住宅のごく普通の一室でした。初めて中国を自由に旅行してから、軽く10年以上がすぎていますが、ここまで変な宿に連れて行かれたのは初めてです。しかも、部屋はあると言ったのに部屋はなく、台所の真横のカーテンが引かれた一角にベッドがありました。そこで寝ろと言うのです。私がどうして、こんな悲惨な目に遭っているのかと言うと、絶対、行ってはいけない時期に広州に行ってしまったからです。

うっかり行ってしまうと本当に怖い…。交易会中の広州 うっかり行ってしまうと本当に怖い…。交易会中の広州

年に2回、4月と10月に開かれる広交会とは?

広州は中国南部にある広東省の省都です。中国南部最大の商業都市であり、周辺は工場が集まる工業地帯でもあります。この広州で年に2回、4月と10月に交易会が行われます。正式名は「中国輸出入商品交易会」です。「広交会(グアンジャオホイ)」と呼ばれ、世界中からビジネスマンがやってくる大商談会のようなものです。交易会中の2週間は、ホテルの値段は全て2倍に上がります。世界中からお客が押し寄せるので、めぼしいホテルは全て抑えられていて、部屋が見つかりません。この時期は広州に出入りする飛行機代も上がります。旅行者にとって最悪の時期です。そんなときに、私はうっかり広州にやってきてしまいました。

売店のおばさんが紹介してくれた宿

広州駅を出るやいなや、私は売店で手ごろな値段で、場所も悪くないホテルに電話をかけまくりました。しかしそんな部屋が残っているわけもありません。すると、売店のおばさんが「あなた今日、泊まる部屋を探しているの? 私が紹介してあげるわ」と言うのです。しかもお手頃な値段で。もうこの話に乗るしかない! おばさんが電話をかけてくれ、お迎えが来るまで、待つこと30分以上。やっと現れた男性に連れて行かれた宿が、この古びた共同住宅の一室だったという訳です。入り口には「湖南省駐辦事務所」の小さな看板が上がっていました。

「ジューバン」って、いったい何?

「駐辦(ジューバン)」とは中国ではごく普通の組織です。日本の県人会のようなものです。私が連れて行かれたのは湖南省出身の人が、広州で商売をしたり、何か困ったときに助けてくれる湖南省民会です。その「駐辦」がこんな古ぼけた共同住宅にあるなんて…。普通はもっと立派なはずなのに。台所の一角に泊まるなんて、持ち物が心配です。ここに泊まるのを断ると、この部屋にいた人が携帯を私に渡し、「あなたから売店の人に『ここには泊まらない』と言って」と言います。結局、私は奇跡的に空いていた駅前のユースホステルに泊まりました。灯台下暗し。広易会がある時期は、どうしても行かなくてはいけない用がない限り、広州には近づかないのが正解です。ホテルの予約もなしに行くと、かなり怖い状況になりますよ。