名前は同じでも、全く異なる洛陽と桂林の朝ごはん

初めて食べる人は「いったいどこが朝ごはん?」、「朝ごはんらしさがどこにもない」とびっくりします。これは「油茶(ヨウチャ)」と言う朝ごはんです。油茶は、河南省洛陽と広西壮族自治桂林のメジャーな朝ごはんです。河南省洛陽は中原と呼ばれる中華文明発祥の地であり、中国北部にあります。広西壮族自治区の桂林は、風光明媚な中国南部です。遠く離れた二つの地方の油茶は、名前は同じでも、見た目も味も全く違います。共通しているのは、どちらも全然、朝ごはんっぽくないことです。

恭城油茶は、どこか和風。スパイスがきいた油茶は飲むと爽快感があります 恭城油茶は、どこか和風。スパイスがきいた油茶は飲むと爽快感があります

ピーナッツ味の洛陽の「油茶」とは?

河南省一帯で食べられている油茶は「果子油茶(グオズヨウチャ)」と言います。「果子」は四角く切った小麦粉生地を油で揚げたもので、軽い食感です。ピーナッツやゴマの粉を煎って、豚の油と水を加えて煮立てたものが油茶です。ここに果子を加えると、洛陽名物の「果子油茶」になります。しょっぱいお汁粉みたいな油茶とカリカリ軽い食感の果子の組み合わせは意外とおいしく、3時のおやつとしても人気があります。私も食べる時は、午後のおやつとして食べます。

日本風アラレ入りの桂林の「油茶」とは?

広西壮族自治区桂林の油茶は、もっと変わっています。有名な地名をとって「恭城油茶(ゴンチョンヨウチャ)」とも言います。恭城は桂林北部にある山中にある県で、少数民族のヤオ族が多く住んでいるところです。恭城油茶はヤオ族の伝統食でもあるんですよ。煮出した紅茶に豚の脂、しょうが、ネギ、香菜などを加え、さらに米で作ったアラレを加えたものが恭城油茶です。茶葉にカフェインが含まれているので、地元の人たちは、眠れなくなると言って、夕方以降は食べないそうです。桂林に行くと、この恭城油茶を出す食堂が並んでいるところがあります。朝、時間に余裕がある人は、家族や友人とゆっくり油茶を飲み、お餅をつまんだりしながら、朝のひとときを過ごします。

南北の食文化の違いがバラエティに富んだ朝ごはんを作った?

揚げたて熱々の揚げパンと豆乳! じんわりとおいしさが広がるお粥! どちらも伝統的な中国の朝ごはんです。こんな朝ごはんなら、日本人も喜んで食べられます。中国は北は小麦粉、南はお米を主食とする地域なので、食文化もバラエティに富んでいます。南北の油茶はどちらも軽い塩味でおいしいのですが、「伝統的な朝ごはん」と言われると、納得できません。古都洛陽と水墨画の世界が広がる桂林で、油茶を見つけたら、食べてみませんか? 朝ごはんらしくない朝ごはんを実感すること、まちがいなしです。