中国の風景の中にある不思議な建物

真っ青な空、年月の重みやそこで生きてきた人々の暮らしが見えるような建物。これだけで絵になります。いかにこの風景を切り取るか、写真の腕の見せ所です。それなのに、明らかに最近できたばかりの建物があります。中国では、目の前に広がる絵になる風景に近代的な建物が建っていることが多々あります。しかもその建物が、かなり新しくて、周辺の景色から浮き上がっています。今回、訪れた広西壮族自治区の東南部にある「黄姚古鎮(ホワンヤオグーチェン)」もそうでした。

農村の古鎮に不似合いな庭園風の建物。これらは新しく建てられたもの 農村の古鎮に不似合いな庭園風の建物。これらは新しく建てられたもの

「黄姚古鎮」って、どんなところ?

広西壮族自治区は、中国の西南部にある風光明媚なところです。中でも桂林や陽朔は、雨水で浸食されたカルスト地形と漓江が生み出す美しい景観で知られています。黄桃古鎮は、桂林から南に約180キロ離れた場所にあります。1000年もの歴史があると言われる古い村です。村からはカルスト地形の土地の特長ともいえる、いくつもの小高い山が見えます。その中に姚江と呼ばれる川が流れています。その風景は、まさに桃源郷です。思わず、時間を忘れて、桃源郷の風景にひたりたい気分ですが、やはりここも例外ではありませんでした。

桃源郷の世界のはずが、桃源郷ではない理由

緑色が美しい姚江の右側には、古びた石造りの民家が並んでいます。これだけで充分美しいのですが、右側には、最近作ったばかりにしか見えない煉瓦作りの回廊があります。村はずれの池には、小高い二つの山が映り、まるで鏡のよう。池のほとりには、古びた民家が並び、ひなびた世界です。それなのに、ここにもありました。反り返った二重の屋根を持つ回廊や東屋が。田舎の古い村に、なんだか不似合いに感じます。

内陸部の村の人たちのサービス精神

これが考え方の違いです。中国内陸部の古鎮に住んでいる人たちにとって、外国人観光客が求めている、ありのままのひなびた風景は、自分たちが、日々目にしているものです。それよりも新しい人工的なもののほうに価値があると思っているようです。新しく作った回廊も東屋も内陸部に住む人たちのおもてなしの形と言えます。中国の若い世代は、商業化され、作られたような古鎮の風景をよく思ってません。中高年になるとテーマパーク化し、作られた古鎮を楽しんでいます。中国の中でも世代によって考え方が異なります。