浙江省にある諸葛孔明の子孫が住む村

中国人より濃いファンが多いと言われる日本人の三国志ファンなら「諸葛八卦村」の名前を知っているかもしれません。中国では、まだまだメジャーとは言えない諸葛八卦村は、その名の通り、三国時代の蜀の宰相であり、軍師であった諸葛孔明の子孫が住むと言われる村です。蜀と言えば、中国西南部の四川省です。省都の成都にある三国志の聖地「武候祠」をはじめ、蜀関連の史跡は四川省とその周辺に集中しています。しかし、諸葛八卦村は、沿岸部の浙江省のちょうど真ん中あたりに位置する蘭渓市にあります。しかも現在、諸葛孔明の末裔が集まっている村としては、中国最大と言われているところです。

諸葛孔明紀念堂である大公堂。孔明の諡号は、忠武候 諸葛孔明紀念堂である大公堂。孔明の諡号は、忠武候

「盗人がやって来ても、決して出られない」諸葛八卦村

2018年6月、中国のニュースサイトの「今日頭条」で「長年、盗人はただのひとりとしてやって来ない。やって来たとしても、出ることはできない、中国で最も奇妙な村」という長いタイトルの特集記事を見つけました。中国らしい大げさなタイトルですが、諸葛八卦村がそう言われるには、確たる理由があります。諸葛八卦村は、孔明から見て、27代目の宗主である諸葛大獅が作った村です。諸葛一族がこの地に住み始めたのが、1340年頃と言われているので、優に670年以上の歴史があります。諸葛大獅は諸葛孔明が考えた「八卦の陣」をもとに村を建設しました。「三国志演技」では、八卦の陣で敵を誘い込み、奇妙な陣立てが敷かれた場所から出られなくしたことになっています。諸葛八卦村も迷路のような造りの非常に珍しい村です。

諸葛八卦村は、国家4A級の観光地。午前中はツアーバスがやって来るので、ツアー客が帰った後の午後に行くのがおすすめ 諸葛八卦村は、国家4A級の観光地。午前中はツアーバスがやって来るので、ツアー客が帰った後の午後に行くのがおすすめ

諸葛八卦村の中心は、「鐘池」

諸葛八卦村の民居は、しっくいの白壁の上にちょこんと黒い屋根瓦がのっている浙江省ではよく見られる建築様式です。窓は小さく、やや高い位置にあるのも特徴の一つ。村の中心になっているのは「鐘池」。散策は鐘池から始めるのがおすすめです。鐘池は、珍しい陰陽マークをしています。これは神羅万象が陰と陽によって成り立ち、互いに極まれば、逆のものに生まれ代わり、それが永遠に継続することを意味しています。神秘的な意味をこめた鐘池からは、細い路地が放射状に延びています。しかも路地と路地がつながっていたり、つながっていなかったりします。道がわかりにくい上に高低差を作っているので、余計に道が複雑になっています。

陰陽マークが半分しか見えないが、ここが鐘池。周囲に高い建物がないので、上から見るのが難しい 陰陽マークが半分しか見えないが、ここが鐘池。周囲に高い建物がないので、上から見るのが難しい

諸葛八卦村の住民のうち諸葛姓を名乗る住民は何割?

諸葛八卦村の見どころは、諸葛家の祖廟である丞相祠堂、孔明を記念した大公堂、諸葛家が開いた薬局の天一堂など。上塘と呼ばれる池の周辺は、古い商店街になっています。池では、村びとがのどかに洗濯をする姿も見られます。諸葛八卦村には、5000人以上(2006年)が住み、村の8割以上が諸葛姓だと言われています。池で洗濯したり、孫をあやしている村人も孔明の子孫かもしれません。「盗人が入ったとしても、村から出られない」は大げさですが、鐘池を中心とした丸い形の村は、道が複雑でわかりにくいです。蜀滅亡後、孔明の子孫が生きた歴史に思いを馳せながら諸葛八卦村を歩いてみませんか? 
【諸葛八卦村への行き方】杭州南バスターミナルから蘭渓行きが午前7時10分から午後7時20分まで約30分に1本あり。所要約2時間。蘭渓到着後、諸葛行きに乗り換え、諸葛八卦村へは所要約30分。諸葛行きは、本数多数。

上塘の周辺には、食堂や商店が集まっている。諸葛八卦村には、明清代の古民居が200軒以上残っているが、上塘周辺の古民居もみごたえあり 上塘の周辺には、食堂や商店が集まっている。諸葛八卦村には、明清代の古民居が200軒以上残っているが、上塘周辺の古民居もみごたえあり