新疆のバザールで見つけた! 昔懐かし風屋台は何を売っている?

長椅子に座っているお客は、老いも若きもみんな真剣に小さな古いテレビを見ています。テレビが映しているのは、ウイグル族のドラマやインド映画です。なんだか日本の家庭にテレビがまだ、普及していなかった頃みたい! こんなほのぼのとした光景が見られるのは新疆ウイグル自治区のカシュガルや和田のバザールです。新疆ウイグル自治区はパキスタン、キルギス、カザフスタンなどの国と国境を接しており、西安からローマまで続くシルクロードの一部分です。そのシルクロードに住むウイグル族のバザールで見かけるテレビがある屋台は、“あるもの”を売っています。

シルクロードのお仕事! 昔懐かし屋台で売るヨーグルト味のデザート シルクロードのお仕事! 昔懐かし屋台で売るヨーグルト味のデザート

昔懐かし屋台で売っているデザートとは

その屋台で売っているのは、ヨーグルト味の氷です。地方によって呼び方は違いますが、カシュガルでは「ドーッ」と言います。粗く砕いた氷にヨーグルト、水、はちみつを入れた甘酸っぱいデザートです。屋台のご主人が砕いた氷やヨーグルトが入ったお碗を、軽快にゆり動かして、混ぜ合わせてくれます。時には勢いよくお碗を動かして、飛び出した中身が、またお碗に戻って来る様子も見られます。このドーッの屋台には、どういうわけかテレビがあります。お客はテレビを見ながら、のんびりドーッを楽しむのがお決まりです。

このデザートで使っているのは、意外なもの!

この昔懐かしい雰囲気がするドーッの屋台で使っているのは、冷蔵庫で作った氷ではないんです。カシュガルでは、隣町のアトシュの湖の氷を冬の間に切りだして、氷室で保管しておき、翌年の夏に使っています。天然の氷です。カシュガルより南にある和田では、このヨーグルト味の氷を「カドゥーチー」と呼びます。ここでも氷は、天然ものです。和田では、崑崙山脈から流れ出た水が冬の間に凍ると、それを氷室に保管して使っています。カシュガルでも和田でも、この天然の氷の上に分厚い布をかけて、溶けにくくしています。テレビ付きの氷屋さんは、雰囲気も売っているものも、昔懐かしいものでした。

変わりつつあるシルクロードのバザール

2000年頃から、新疆ウイグル自治区では冷蔵庫の普及率が上がりました。特別にお金持ちの家庭でなくても、冷蔵庫を持っています。いつのまにか主食のナンも毎日、買うものではなくなりました。まとめ買いしたナンを冷凍庫に保管しておき、食べる時に自然解凍すれば、風味も味も失われないと言われています。ドーッやカドゥーチーの屋台の仕事も、そう遠くない将来なくなってしまうかもしれません。その前に、天然の氷が人工の氷になる可能性大です。新疆のバザールでドーッやカドゥーチーの屋台を見かけたら、今のうちに行っておきましょう!