シルクロードのナンとインドのナン

窯の壁に貼り付けて焼いたナンを針金棒にひっかけて、器用に取り出す姿を見てしまったら、もう買わずにはいられません。明日の朝ごはん用に買ったのに、受け取った瞬間、パクッと一口。ほのかな塩味の焼きたて熱々のナンはおいしい〜。これよりもおいしいものはシルクロードにはないんじゃない? 中国の中でも最も西部にある新疆ウイグル自治区は、西安からローマまで続くシルクロードの一部分です。この新疆ウイグル自治区に住む少数民族のウイグル族の主食がナンです。ナンと言えば、インド料理のふっくらした素焼きのナンを思い浮かべる人が多いかもしれません。新疆ウイグル自治区のナンは、インド料理のナンより、やや固めの生地で、食感もパンに近いものです。

ギルダより軽い食感。二日目でもあまり硬くならないところもおすすめ! ギルダより軽い食感。二日目でもあまり硬くならないところもおすすめ!

シルクロードのナンの中で、最もメジャーなナン

新疆ウイグル自治区で一番よく食べられているナンはアメッキとギルダです。アメッキは、縁がこんもりしたピザの台のようなナンです。縁の部分には、ほどよくしっかりした生地が詰まっていますが、真ん中の薄い生地の部分はカリカリのクラッカーみたいです。大きさは2種類、直径18センチほどのこぶりのものと直径23〜25センチはありそうな大きなものです。ギルダは、ベーグル型のナンです。アメッキに比べ、生地がしっかり詰まっているので、どっしり重い食感です。翌日になると、表面が硬くなってしまい、手で割るにもかなり力が必要です。

あまり売られていないけれど、おいしいナン

さて、新疆ウイグル自治区のナンと言えば、このアメッキやギルダ以外にもいろいろあります。「油ナン」と言われるヤグナンの見た目はアメッキそっくりです。生地に卵、牛乳入りなので、ほのかに甘く、ビスケットのような食感。翌日でもあまり硬くなりません。このアメッキ、ギルダ、ヤグナンあたりは、どこの町でも売られているメジャーなナンです。私のいちおしは「トカッチ」と呼ばれるナンです。新疆ウイグル自治区の中でも地方によってナンの名前が異なることもあります。トカッチがシルクロード全体で使われている名前かどうかはわかりませんが、アメッキやギルダとは異なる食感のおいしいナンです。

なかなか出会えないので希少価値あり!

トカッチは、こんもり盛り上がった生地の中に気泡がいっぱい入っています。食べた感じが、フランスパンっぽいのが特徴です。味は、粉本来の味に加え、ほのかな塩味です。飽きがこない味と気泡が空いている分、ギルダと比べると軽い食感です。このトカッチ、新疆ウイグル自治区の省都、ウルムチの二道橋のバザールでは、よく見かけましたが、カシュガルや和田では、あまり売られていません。ナンも地方ごとに好みのタイプがあります。トカッチはなかなか見つからないから、余計に食べたい気持ちがつのるナンです。新疆のバザールで見つけたら、即買いがおすすめです。