カシュガルのバザールでみかけた異様な男たち

地面にしゃがんだウイグル族の男性が一心不乱に何かを食べています。緑の葉っぱのお皿には、ぐちゅぐちゅの黄色い果物がのっています。いい年した男性が、したたる汁で手をベトベトにしながら、黙々と黄色い果物にかぶりつく姿はちょっと異様です。「本当に好きなんだなあ」と半ばあきれて、その様子を見てしまいました。ウイグル族は中国の最も西の端、新疆ウイグル自治区に住む少数民族です。ほりの深い顔立ちと茶や緑の瞳、茶色の髪をした彼らは中国人には見えません。そんなウイグル族の男性たちが黄色い果物を売っているバザールの一角にしゃがみこんでいました。

旬は過ぎても、食べずにはいられない新疆のいちじく 旬は過ぎても、食べずにはいられない新疆のいちじく

新疆の果物が美味しい訳とは?

ウイグル族の男性が夢中になって食べているのは、いちじく! 中国では「無花果(ウーホアグオ)」と言います。日本のいちじくは薄い紫色ですが、新疆のいちじくは黄色です。熟したいちじくを縦につぶしているので、余計に何かわかりません。新疆は1日の寒暖差が大きく、日照時間も長いので果物の栽培に適しています。中国では新疆と言えば、果物を連想するぐらい新疆の果物は有名なんですよ。ハミ瓜、梨、りんご、ざくろ、いちじくなど、どれも安くて美味しく、夏から初秋にかけてのバザールは、まさに果物王国の様相をなしています。

バザールのいちじく商人事情

いちじくは、カシュガルからバスで東に30分ほどのアトシュの町の特産で、7月から9月初旬にかけて出回りますが、旬は8月頃です。私がカシュガルを訪れた9月初旬は、まさにいちじくの季節が終わる頃です。路上に置かれた洗面器にまっすぐ積み上げられたいちじくが柱のように見えます。誰もが今年の食べ納めとばかりにいちじくを買うので、柱はみるみる低くなっていきます。バザールでいちじくを売っているのは、カシュガル郊外に住む農家の人です。売り切れるとバスに乗って、家にいちじくを取りに戻り、また、バスに乗って売りに来るそうです。日によって、それが一度ではないそう。日本ではいじちくは特に人気がある果物じゃありません。ウイグル族の中には、いちじくが好きな人が多いように感じます。

さて、新疆のいちじくのお味は?

私もいちじくを食べてみました。季節や大きさによって値段は違いますが、2〜3個で、1元か2元です。破れそうなほど薄い皮の中はグチュッと軟らかい果肉。ねっちょりした果肉をかじると、「あっ、甘〜い」。果肉が軟らかいので、余計に甘く感じます。酸っぱい果物が好きな私には甘すぎて、一盛3個のいちじくは食べきれませんでした。こんなに甘いいちじくをバクバクと何個も食べられるなんて、ウイグル族の男性って、なんて甘党なんだろう。夏の新疆に行ったら、新疆の甘いいちじくをぜひ、お試しあれ!