羊肉の塊付き! シルクロードを感じる料理

にんじんを炊き込んだごはんの上には、羊肉の塊がゴロン! 食べると「シルクロードにやって来たよ」と言う気持ちが沸いてきます。これは、ポロと呼ばれるピラフです。中国の西の端の新疆ウイグル自治区に住んでいるウイグル族の民族料理でもあり、中央アジア一帯で食べられています。新疆ウイグル自治区は、西安からローマまで続くシルクロードの一部分です。新疆ウイグル自治区の中でも西に位置しているカシュガルまでやってくると、モスクのある風景や、彫りの深い顔のウイグル族に中央アジアを感じます。こんなウイグル族の人々の主食は、小麦粉で作ったナンや麺です。

伝統的なポロ。羊肉が高級になってしまい、こんな大きな羊肉が載っているのは、めずらしい。小さく切ったものを使う店が多くなっている 伝統的なポロ。羊肉が高級になってしまい、こんな大きな羊肉が載っているのは、めずらしい。小さく切ったものを使う店が多くなっている

羊肉の大幅値上がりが響いている現代のポロ事情

ナン以外にもぶつ切りの羊肉をのっけたポロもよく食べます。ポロは漢字でかくと「ジュワ(手へんに爪)飯(ファン)」です。羊肉、白菜、トマトなどの野菜煮込みをかけた、混ぜ麺のラグメンと並んで、ポロは、新疆ウイグル自治区を代表する名物料理です。今ではポロは、バザールやレストランで食べられる普通の料理ですが、もともとは結婚式などの特別な時に食べるごちそうでした。最近では、羊肉がどんどん値上がりしているので、ポロの値上がり方もすさまじい。2000年代前半頃まで、ポロは、ラグメンよりも少し高いぐらいの値段でした。2015年になると、2倍か、それ以上するようになり、値段は、かつてのごちそう時代に戻ってしまったかのようです。

新疆ウイグル自治区の国民食と言えるラグメン。ウイグル族は、毎日1回は、ラグメンを食べないと忘れ物をしたような気持ちがするという 新疆ウイグル自治区の国民食と言えるラグメン。ウイグル族は、毎日1回は、ラグメンを食べないと忘れ物をしたような気持ちがするという

美味しいポロに使っているお米の産地は、どこ?

ウイグル族の料理の中でポロは、唯一のお米料理と言えるものです。何度も食べたことがあるポロですが、米は、雨が多い中国南部や日本人の影響がある東北地方のものを使っていると思いこんでいました。カシュガルをはじめ、新疆ウイグル自治区で食べられている米は、実は新疆産です。ほとんど雨が降らないシルクロードで稲作ができるなんて! もしかして水田を必要としない陸稲? 違います、水稲です。新疆ウイグル自治区では、省都のウルムチとカシュガルの中間よりやや西にあるアクスが、米どころとして知られています。タクラマカン砂漠の北側にあるアクスが、どうして米どころなの?

カシュガルのバザール。中央アジアのような素朴な雰囲気、中国なのに中国ではないような世界が広がっている カシュガルのバザール。中央アジアのような素朴な雰囲気、中国なのに中国ではないような世界が広がっている

意外と新しい新疆の稲作の歴史

新疆の稲作の歴史は、比較的新しく、清朝の時代に始まります(中国側では、唐代説あり)。乾隆28(1763)年、清朝が、内陸部から赴任してきた高官の宴会用の米を作るためにアクスで屯田を行ったのが始まりです。その後、19世紀末のヤクブ・ベクの乱の時、清の将軍である左宗棠が湖南省の兵を率いてきました。米を主食とする彼らが屯田をしたので新疆各地に広まったと言われています。アクスは、天山山脈の南麓にあります。天山山脈の雪解け水が流れる河川が多い、水に恵まれた土地です。中でも、アクスに近い温宿県の米が、おいしいことで知られ、「アクスの誇り」と言われています。美味しいので食べていたポロですが、新疆産のお米で使っていたとは! アクスに珍しいシルクロードの水田を見に行きたくなりました。

バザールのポロ屋さん。ポロは、作ってから時間がたつと余計に油っこくなるので、作りたてのお店で食べるのがおすすめ バザールのポロ屋さん。ポロは、作ってから時間がたつと余計に油っこくなるので、作りたてのお店で食べるのがおすすめ