中国の西の果てにある湖

「カラクリコ!?」中国の新橿ウイグル自治区の西の果て、エキゾチックなシルクロードの町カシュガルの安宿には、これからカラコルムハイウェーを通ってパキスタンに向かう旅人たちが集まっていました。当時、カシュガルからタシュクルガンという国境の町に行き、そこから国境を越えるのが一般的でしたが、旅人の誰かが「僕はその前にカラクリコに泊まってみようと思うんですよ」と言ったのです。カラクリコってなんでしょう。それは、カシュガルとタシュクルガンの間に位置する湖で、そこから7000m級の山々が望めるのだと彼は言います。その場ですぐに6人の同行の士が決まりました。

まるでプラネタリウムを見ているみたい!!中国・カラクリ湖で見る星空 まるでプラネタリウムを見ているみたい!!中国・カラクリ湖で見る星空

万年雪を頂く高峰が目の前に

タシュクルガン行きのバスを途中下車してたどり着いたカラクリコ湖は、海抜3500mの高地にあります。湖の正面には雪を頂いたムスタグ・アタ山(7546m)が鎮座し、東の奥にはコングール山(7649m)が見え、その姿が鏡のように湖に映ってまさに絶景です。それまであまり山やトレッキングに興味のなかった私が初めて山に魅せられたのは、今思えばこのカラクリ湖からの眺めだったかもしれません。湖畔にはレストハウスがあり、オーナーらしき青年に泊まれるかどうか尋ねると、近くに建ててあるパオ(遊牧民のテント)に泊まれるとのことでした。

呆然とするほどの満天の星空

湖の周辺には遊牧民のキルギス族が住むパオが点在しています。高地の牛、ヤクも放牧されていました。レストハウスで夕食を作ってもらい、初めは無愛想だと思ったオーナーの青年とひとしきりカラオケで盛り上がってからパオに戻りました。電気も何もないパオの中で6人でお喋りして夜も更けた頃、誰かが外にトイレに行って戻ってくるなり「星がものすごいよ!!」と言いました。みんなでパオの外に出てびっくり。空が星だらけなのです。「肉眼でこんなに星って見えるものなのか」と呆然とするくらいに見事な星空でした。星がありすぎて、ここでは星座なんて見つけられないでしょう。

世界で一番美しい星空!?

周囲には人工的な明かりが一切なく、高地で空気が澄んでいることもあってあんなに星が見えたのかもしれません。ここで私は初めて流れ星を見ました。翌日はボートを借りて対岸に渡り、小さな村を訪ねたり、山を見ながらハイキングしたりして過ごしました。そして私たちはカラクリ湖を後にし、8世紀初めに玄奘三蔵が通ったのと同じ道を通ってパキスタンを目指しました。それから世界のあちこちで美しい星空を見ましたが、いまだにあのカラクリ湖での夜を越える星空には出合えていません。星空というといつもカラクリ湖を思い出します。