カシュガルの旧市街に押し寄せる再開発の荒波

砂をかぶったかのようにくすんだ外壁、危なっかしく見える日干しれんがを積み上げた家。ここは中国の沿岸から一番遠い新疆ウイグル自治区の中でも一番西に位置するカシュガルの旧市街です。新疆ウイグル自治区で最大といわれる黄色いモスク、エイティガール寺院を取り囲むようにウイグル族が住んでいる地区が広がっています。「老街(ラオジエ)」とも呼ばれ、漢民族が住んでいる新市街とは異なり、少数民族のウイグル族の古い民家が並んでいます。この老街に今、再開発の荒波が押し寄せています。細かくブロックに分けられ、古い伝統家屋はブロックごとに壊され、次々と新しい家に変わっていっています。

築100年以上の家もあると言われる高台民居。保存に力を入れてほしい 築100年以上の家もあると言われる高台民居。保存に力を入れてほしい

現代化した中国側のシルクロード

老街にはウイグル族の民家だけでなく、食堂やナンを焼く屋台なども並んでいます。ここは1980年代にNHKで放送された「シルクロード」の世界が残っているところです。当時のシルクロードと言えば、乗り物と言えば、ロバ車や馬車が中心で、高層ビルもほとんどなかった素朴な世界です。今、中国側にあるシルクロードは近代化され、高層ビルが立ち並んでいます。市内中心部はロバ車や馬車の乗り入れ禁止になり、車やバイクの渋滞が目につきます。老街も「高台民居」と呼ばれる地区を除いて、取り壊しが決定しました。

ウイグル族が住む「高台民居」って、どんなところ?

「高台民居」は、老街の最も東部にあるウイグル族の伝統家屋が集まっている地域です。土地が高くなっているところなので、高台民居と呼ばられています。老街は入場料もなく、自由に歩き回れますが、高台民居は風景区になっているので入場料30元(約600円)がかかります。現在、640戸の伝統家屋があり、約4000人が住んでいると言われています。崩れ落ちそうな煉瓦造りの家や壁がはがれた家が高台に密集している姿はまさに要塞です。外から見るとボロボロなので、廃墟のようにも見えます。

高台民居風景区で体験できること

高台民居では、ウイグル族の個人のお宅も見学オッケーです。そのお宅で伝統料理のラグメンを食べたり、民族舞踊を見せてもらった時は、入場料とは別にお礼が必要です。ウイグル族は、中庭におかれたベッドで夏は眠り、食事もこの上でとります。いかにもシルクロードの民らしい生活を見学させてもらうこともできますよ。しかし、近年、高台民居は見る影もなく、今にも崩れ落ちそうです。伝統家屋をそのまま保存するって難しいことです。カシュガルの老街全体が雲南省の世界遺産、麗江の旧市街のようになれば、保存されるはずです。しかし、今のところ、その動きはありません。高台民居の見学は、できるだけお早目に!