新疆ウイグル自治区らしいニューイヤーの風景

ふと門のそば、通りから見える庭の木の下を見ると、大量の血の池・・・。時々、門の前の電柱から頭を下にしてぶら下げられた羊の姿も目につきます。新疆ウイグル自治区のニューイヤーらしい光景とは言え、地面にたまった大量の血には、さすがにうっと息が詰まります。中国の一番西、新疆ウイグル自治区は、西安からローマまで続くシルクロードの途中です。中国とは思えない景色が広がっています。町を歩く少数民族のウイグル族は茶色の瞳に茶色の髪、モスクやれんがの家が並ぶ風景は、中央アジアのようでもあり、まさに中国のイスラム世界です。

クルバン祭が近づくと、羊の値段があがります クルバン祭が近づくと、羊の値段があがります

ウイグル族のお正月「クルバン祭」とは?

イスラム教を信仰しているウイグル族のニューイヤーと言えば、クルバン祭です。太陽が昇ってから、日没まで食べ物を一切口にしない断食祭をローズ祭りと言います。この断食あけから70日後にやってくるのが、クルバン祭です。クルバンとは「犠牲」という意味です。そのため、犠牲祭とも呼ばれています。私が見てしまった可哀想な羊がその犠牲です。ローズ祭もクルバン祭もイスラム教徒が使うイスラム歴で日が決まっています。イスラム歴は、太陽暦より11日短いので、毎年、祝日が変わります。2016年のクルバン祭は、9月11日〜9月14日です。

クルバン祭の朝にする家長の大切なお仕事

クルバン祭りの朝、家長がアッラーの神に祈りを捧げた後、羊や牛をつぶして、家族や親せきにふるまいます。新疆ウイグル自治区の古都、カシュガルに住むウイグル族の友人のご主人は、工業系技術学校の先生です。友人は旅行社勤務です。友人の温厚そうなご主人が、暴れまわる羊を押さえこんで、のどを掻き切る姿なんて、想像できません。直接、友人に聞いてみると、「夫はできないんです」と、恥ずかしそう。古都カシュガルは、新疆ウイグル自治区の中では都会です。一昔前のウイグル族なら、羊をつぶすのは当たり前のようにできました。今は、都会で生まれ育った40代ぐらいの男性は、もう自分で羊をつぶせないそうです。

今時のウイグル族のクルバン祭対策

で、どうするか言うと、肉屋か農村の人にお願いします。つぶしてもらうかわりに、安く羊の毛皮を売るそうです。クルバン祭の朝、都会の肉屋さんは、羊をつぶしに家々をまわるので大忙しです。これが今時の都会のクルバン祭です。私が初めてクルバン祭の日に、カシュガルにいたのは、真冬の2月でした。2016年は9月中旬。夏のニューイヤーって、日本人にはピンときませんが、それよりも夏にあの血の池は、ちょっと臭いかもしれません。