崩れ落ちそうで崩れない高台民居

ボロボロで今にも崩れ落ちそうな土壁や日干し煉瓦の家。そんな家が高台の上にかたまって建っている姿は、砂漠の要塞みたい。ここは、中国西北部にある新疆ウイグル自治区の中でも最も西にあるカシュガルの「高台民居」です。カシュガルの旧市街の東端にあり、高さ40メートル、800平方メートルの黄土高原の上に建てられた古民家群です。2015年10月末、「たびナレ」で「世界遺産になってほしい! 新疆ウイグル自治区シュガルの『高台民居』」と言う記事を書いた頃は、保存は決まっていたものの、あまりのボロさにいつ、崩れ落ちるかと不安でいっぱいでした。

積み木の家のような高台民居の冬は、寒そうだ 積み木の家のような高台民居の冬は、寒そうだ

高台民居があるカシュガルとは?

新疆ウイグル自治区は、西安から始まるシルクロードのまさに途中です。トルコ系のウイグル族が多く住む新疆では、通りを行き交う人、建物、市場、ウイグル語の看板など、何を見ても漢民族の世界とは違っています。その中でもカシュガルは、一番シルクロードらしい文化が残っている古い町です。そのため「新疆に行っても、カシュガルに行かなければ、新疆に行ったことにはならない」と言われています。しかし、2000年代になると、急速に「老城」と呼ばれる旧市街の再開発が進み、新しくなっていきました。政府の補助金でウイグル族の伝統家屋の建て替えが進むと、周辺が新しくなっただけに高台民居のボロボロさは、際立って見えました。

通りが舗装され、崩れ落ちそうだった伝統家屋が小ぎれいに改修された老城 通りが舗装され、崩れ落ちそうだった伝統家屋が小ぎれいに改修された老城

積み木の家のような高台民居に行ってみよう!

2018年6月、中国のニュースサイト「今日頭条」の高台民居を書いた記事を見つけました。「崖に寄って建ち、家族が一代増えるごとに階を増やす(と言う)中国で一番珍しい民居」は、高台民居の簡単な歴史と現状を紹介した記事でした。これを読んで、「高台民居があんなにあぶなかっしい感じがするのは、なぜなのか」がやっとわかりました。高台民居は、積み木の箱を下手くそに積み上げたような感じがします。これは民居は、もとは低層だったから。家族が増えた時に1階ずつ増築しているので、いかにもつぎ足したような感じがしていたのでした。

高台民居に近い人民東路にある観覧車に乗ると、高台民居の全景が見られる 高台民居に近い人民東路にある観覧車に乗ると、高台民居の全景が見られる

高台民居に行かないとカシュガルに行ったことにはならない

高台民居には、検索サイトの「百度」によると、現在603戸、2450人以上のウイグル族が生活しているそうです。予想以上に住民が住んでいて、この数字にちょっと驚いてしまいました。日干し煉瓦と木造の伝統家屋は、ウイグル族の若者には、人気がありません。トイレなどの水回りが現代的なアパートに比べると、圧倒的に不便。以前、ウイグル族に聞いたところ、結婚後は老城の伝統家屋よりも現代的なアパートに住みたいと思っている若者が多いそうです。高台民居の住人も中高年がほとんどかもしれません。高台民居は、伝統家屋を通してウイグル族の習俗を研究する資料でもあり、人気観光地です。カシュガルに行ったら、高台民居に行くのがおすすめ! カシュガルに行って、老城の高台民居に行かないと、カシュガルに行ったことにはなりません!

高台民居の家は築100年を超える家が多いと言われている 高台民居の家は築100年を超える家が多いと言われている