消えた昆明のジャガイモ入り土鍋ごはん

「私が食べたかったのは、これじゃない!」。料理名が同じだから注文したのに、全く違うごはんが出てきました。90年代半ばに雲南省の省都、昆明で食べたジャガイモ入りの土鍋ごはんが忘れられません。ほど良い塩味のごはんとホクホクしたジャガイモが感動ものの美味しさ! 中国西南部に位置する雲南省は、少数民族が多く住む自然豊かなところです。90年代半ば、昆明では夕方になると、ずらーっと土鍋ごはんの屋台が並ぶ広場がありました。テーブルには、何種類ものお漬け物が用意され、好きに食べていいのです。その後、2000年代も2010年以降も昆明に行ったことがありますが、屋台があった広場も通りもなくなりました。土鍋ごはんもどこに行けば食べられるのか、わからなくなってしまいました。

2人が分け合って食べているごはんが、豆メン飯。豆メン飯の屋台では、テーブルの漬け物は食べ放題! 2人が分け合って食べているごはんが、豆メン飯。豆メン飯の屋台では、テーブルの漬け物は食べ放題!

四川省南部の会理古城で豆モン飯と再会?

ジャガイモ入り土鍋ごはんとは、雲南省一帯で食べられている「豆メン飯(火へんに悶)飯(ドウメンファン)」です。「土豆メン飯」とも呼びます。2017年2月、四川省南部の雲南省との境界に近い会理古城で見つけました。あまりのうれしさに注文すると、出て来たのは、普通のお皿に入ったジャガイモ入りのピラフ。「これじゃない! 土鍋が重要なのに!」と激怒りでした。しかし会理では、これを豆モン飯と呼ぶそうです。最近、昆明には「砂鍋飯(シャーグオファン)」を出す食堂が目につきます。砂鍋とは、土鍋のことです。一人用の砂鍋飯は、中国の南方に広まっています。雲南省名物の豆メン飯よりずっとメジャーな料理であり、料理名です。

豆メン飯の屋台は、テーブルの上のお漬け物を見ればわかる 豆メン飯の屋台は、テーブルの上のお漬け物を見ればわかる

豆モン飯と砂鍋飯の違い

豆モン飯と砂鍋飯は、似ているようで全く別物。豆モン飯の具は、じゃがいも、青豆、雲南火腿と決まっています。雲南火腿とは、雲南名物の生ハムです。小さく切った雲南火腿からじわじわ出てくる塩分と豚のもも肉のうまみが豆モン飯の味の決め手です。砂鍋飯の場合、土鍋で炊いたご飯なら何でも砂鍋飯になります。具は、骨付き豚肉、ソーセージなど何でもオッケー。豆モン飯も砂鍋飯の一種と言えます。雲南省以外で砂鍋飯を食べると、ジャガイモは入っていません。昆明では、観光客がわかりやすいように豆モン飯を砂鍋飯と呼ぶ店が出てきました。雲南風にジャガイモ入りですが、肉は、鶏肉や豚スペアリブなど、いろいろ。こうなると、もう伝統的な豆モン飯とは言えません。

大理で食べた豆メン飯。火腿は、雲南省北部の特産 大理で食べた豆メン飯。火腿は、雲南省北部の特産

中国各地の名物がいつまでもあると思うな!

昆明では、見つけるのが難しい豆モン飯ですが、雲南省北部の大理や南部の金平で食べました。昆明で食べた懐かしい豆モン飯と同じ味でした。中国を旅行していると、「名物がいつまでもあると思うな!」って、よく思います。90年代から今までに消えていった名物もあれば、一時消え、また、復活してきたものもあります。こんな名物は、その地方の数ある名物の中でも上のほうで数えられることがない名物です。雲南省なら一番の名物は、米線、汽鍋鶏あたり。豆モン飯は、ちょっと下のほうの名物です。メジャーではないので雲南グルメというより、雲南プチグルメ。雲南省のどこかで見つけたら、ぜひ、食べてみてくださいね。じわーっと来る塩味とホクホクのジャガイモの素朴な美味しさに感動しますよ!

一人分ずつ小鍋で煮て作る小鍋米線も名物のひとつ。メジャーで、しかも簡単に作れるのでなくならない 一人分ずつ小鍋で煮て作る小鍋米線も名物のひとつ。メジャーで、しかも簡単に作れるのでなくならない