雲南省でもマイナーな蒙自と碧色寨

中国人なら蒙自(モンズ)と聞けば、「ああ、過橋米線の発祥地ね」と知っている人がほとんどです。過橋米線と言えば、今や雲南省だけでなく、中国全土で食べられるようになった汁ビーフンです。そのため蒙自は、大きな町ではありませんが、非常に有名です。でも、碧色寨(ビースーツァイ)なんて言われても、知っている中国人は、ほとんどいなかったはず。地元の人以外で知っているとしたら、その人は、きっと鉄道おたくです。清朝末期に清仏条約によって雲南省での鉄道建設権を得たフランスが、ベトナムのハノイから雲南省の昆明まで敷いたのがテン(さんずいに眞)越鉄道です。碧色寨は、テン越鉄道の駅の一つ。また、碧色寨駅から分かれ、石屏まで敷かれたのが個碧石鉄道です。

碧石寨駅には、蒙自の北バスターミナルから碧色寨行きに乗って、所要約20分 碧石寨駅には、蒙自の北バスターミナルから碧色寨行きに乗って、所要約20分

テン越鉄道と個碧石鉄道の碧色寨駅

碧色寨駅は、蒙自の北東約10キロのところにあります。個碧石鉄道は、中国初の民営鉄道でもあり、幅60センチのナローゲージの鉄道として知られています。テン越鉄道と同じく、フランスの協力を得て、フランス人技師が設計しました。そのため碧色寨の駅舎は、フランス風の山吹色です。年月を経てくすんだ山吹色に変わった駅舎やかつての職員住宅が、ノスタルジックで旅ごころをくすぐるおすすめスポットです。しかし、雲南省の旅游局が碧色寨駅を大々的に宣伝しているでもなく、マイナーな観光地にすぎませんでした。2012年に私が行った時は、遠足で来た幼稚園の子供たちが帰ってしまうと、観光客は私を入れて二人ほどでした。こんな碧色寨駅に、今、観光客が押し寄せています。

昔懐かし感でいっぱいの碧色寨駅。約60センチの個碧石鉄道は、もともと60センチのナローゲージだったが、後に1メートルに変えられた 昔懐かし感でいっぱいの碧色寨駅。約60センチの個碧石鉄道は、もともと60センチのナローゲージだったが、後に1メートルに変えられた

碧色寨駅に観光客がやってくるようになった理由

2017年12月に公開された馮小剛監督の映画「芳華」のロケ地が碧色寨駅なのです。馮小剛監督と言えば、張芸謀や陳凱歌監督と並ぶ中国を代表する映画監督です。国際的に名高い張芸謀や陳凱歌監督と違い、国内向けのコメディ映画を多く撮って来ました。そのため国内では一番のヒットメーカーと言われたこともあります。その馮監督が撮った「芳華」は、70〜80年代の解放軍の文工団に所属した若い中国人を描いた青春ものです。文工団とは、演劇や演奏などの文化活動をする部隊のことです。碧色寨駅は、ノスタルジックと言う言葉がしっくりくる雰囲気を持っています。まさに「芳華」が描き出す、70〜80年代の社会主義まっしぐらだった頃の中国の風景にぴったりです。

碧色寨駅は、1909年に完成。中国で最も古い駅の一つと言われている 碧色寨駅は、1909年に完成。中国で最も古い駅の一つと言われている

碧色寨駅とあわせて楽しみたい蒙自観光

碧色寨駅がある蒙自は、省都昆明から鉄道で約4時間、紅河ハニ族イ族自治州の政府機関がある町です。とは言っても、2013年に「紅河ハニ棚田群の文化的景観」として世界遺産に認定された元陽の棚田のほうがはるかに有名です。蒙自と言えば、今までは観光よりも過橋米線がメインと言ったところでした。それが今、「芳華」のロケ地巡りに来た観光客でにぎわっているそうです。蒙自中心部の南湖のほとりには、雲南省で最初の税関だった海関旧址や中国で最初の郵便局と言われる大清郵政総局旧址なども残っています。碧色寨駅とあわせて見に行きませんか? もちろん本場の過橋米線を食べることもお忘れなく!

蒙自北バスターミナルに近い食堂で食べた過橋米線。10元(約180円)の安いタイプ。料金が高いものほど具が豪華になっていくが、10元でも十分おいしい 蒙自北バスターミナルに近い食堂で食べた過橋米線。10元(約180円)の安いタイプ。料金が高いものほど具が豪華になっていくが、10元でも十分おいしい