マッチ箱のような家が並んだ、イ族の美しい村

ああ、バスはもう行ってしまいました。次のバスが来るのは1時間半後なのに。私が行きたい村の名前は、「它才吉村」と言います。そこで降りたのに、景色が全く違います。它才吉村は、中国の西南部、雲南省南部の元江県から約43キロ離れた場所にあります。小さなマッチ箱のような家が丘陵に並んでいる少数民族のイ族の村です。村の真ん前にある池に村の全景が映った姿は、本当に美しい。この写真を中国のサイトで見た時、「ここに行こう」と決めました。しかし、行った人がほとんどいません。実際に行った人のブログを見つけましたが、その人は、自分の車で行っています。バスとバイクタクシーで行こうとしている私には、そのブログは、あまり参考になりませんでした。

雲南省元江県の它才吉村(坡垤)。元江のバスターミナルから8時半、10時、13時10分のバスあり。午後のバスに乗ると、元江に戻ってこられないので、午前の2本にしか乗れない 雲南省元江県の它才吉村(坡垤)。元江のバスターミナルから8時半、10時、13時10分のバスあり。午後のバスに乗ると、元江に戻ってこられないので、午前の2本にしか乗れない

異様に交通量が少ない它才吉村への道

中国の検索サイトで「它才吉村」を調べると、行き方の説明はなしでしたが、「交通方便」とありました。它才吉村がある元江県のバスターミナルで尋ねると、朝8時半に它才吉村に行くバスがあることがわかりました。ワ(さんずいに圭)垤村行きのバスに乗ります。うれしいことに、バイクタクシーは必要なし! 它才吉村をバスが通っていることが判明。意外と楽勝かもしれない! 喜んだのもつかの間、翌朝、ワ垤村行きのバスに乗っていると、きつい旅になる予感がしてきました。元江県のバスターミナルを出発すると、バスは、すぐに細い山道に入っていきました。対向車も後ろからやってくる車もない。怖くなるほど、車もトラックも通っていない道でした。

村は、すとんとまっすぐに建てられた素朴な家ばかり 村は、すとんとまっすぐに建てられた素朴な家ばかり

イ族の村の本当の名前とは?

バスに乗って、最初の1時間以上は単なる山道。1時間30分を越えた頃からやっと小さな村がポツンポツンと出てきました。「它才吉村だよ」と言われて降りた集落には、確かに它才吉村の表示がありました。でも、私が見たい村は、ここじゃない。村長らしき男性に「池のある村は?」と尋ねると、「それは坡垤(ポージー)。三キロ先」と言われ、呆然です。次のバスは1時間半後、村長さんにお願いして、1キロにつき5元(約90円)で車を出してもらいました。坡垤の名前は、実際に行った男性のブログには出てました。しかし、他のサイトは、どれも它才吉村でした。私は它才吉村のほうを信じてしまいました。あっと言う間に坡垤村は見えてきましたが、村長の言う通り「今は、池に水はないよ」でした。

村の周辺には、たばこ畑が広まっている。業者がとりにくるのか、お昼頃になると道路にたばこの葉が集まって来た 村の周辺には、たばこ畑が広まっている。業者がとりにくるのか、お昼頃になると道路にたばこの葉が集まって来た

本当に美しい坡垤村が見られる時期とは?

私が訪れた2018年7月は雨期まっただ中ですが、しばらく雨が降っていなかったので、池の水はほんのわずか。坡垤村の魅力も半減です。それでも村の全景がぎりぎり映る程度の水が残っていました。写真と同じ土壁の小さな家が並んでいました。マッチ箱のような家は、中国西北部にあるチベット族の家に似ています。昼間は村人は、畑に出ているのか、ほとんど人影なし。たまに見かけるのは、おばあさんばかり。一応、村に診療所がありました。出て来た男性に「どこから来た?」と聞かれ、「日本から」と答えると、最初はわからなかったようですが、わかると本当にびっくりしていました。もしかしたら私は、村に初めてやって来た日本人? それにしても「雨が降り続いた時しか、最高の景色は見られない」って、どこかに書いていて欲しかった。変わった家や雲南省に興味がある人なら、元江県の坡垤村に行ってみませんか?

它才吉村は、学校や村役場があるところ。坡垤は、它才吉村に属する小さな集落。8時半のバスに乗ると、坡垤に10時半すぎに到着。帰りのバスは、午後1時頃に坡垤の前を通る 它才吉村は、学校や村役場があるところ。坡垤は、它才吉村に属する小さな集落。8時半のバスに乗ると、坡垤に10時半すぎに到着。帰りのバスは、午後1時頃に坡垤の前を通る