中国大陸を鉄道旅行すると、起きる変化

「鉄道で4時間もかかるなんて、耐えられますか?」。2017年6月のある日、京都大学の中国人留学生Wさんに言われました。「余裕、余裕。4時間は近いほう」と答えた私は、中国の鉄道好きです。私は90年代から中国大陸を鉄道でまわっているので、車中1泊2日は当たり前、3泊4日も体験済みです。例えば、上海から西の端のカシュガルまでは、特急列車で3泊4日です。新疆ウイグル自治区のウルムチまでが2泊3日、列車を乗り換えて、さらに1泊2日でカシュガルに到着です。広大な中国大陸を鉄道で旅をしていると、距離の感覚が狂ってしまいます。4、5時間の距離なんて長距離に入りません。「おっ、近い」に変わるのです。

90年代の上海〜ウルムチを走る特急列車の硬座車両。当時は、特急列車でも、硬座と呼ばれる2等席はエアコンなし! 90年代の上海〜ウルムチを走る特急列車の硬座車両。当時は、特急列車でも、硬座と呼ばれる2等席はエアコンなし!

中国の鉄道路線は、とにかく長距離!

20代前半のWさんは、日本では4時間以上鉄道に乗るような経験がないと思っているのかもしれません。もしくは、日本の鉄道事情に詳しくないので、日本には4時間を超えるような長距離列車が存在しないと思っている可能性もあります。中国の長い路線と言えば、東の北京から西の新疆ウイグル自治区のウルムチまでで3774キロ、北京から西南部の雲南省昆明までで、3184キロもあります。日本には、ここまで長い路線はなくても、そこそこ長い路線はあります。「日本でも4時間ぐらいの鉄道旅行は、全然、平気よ」と言いたくなります。

板のような背もたれの硬座車両は最近、かなり減りました。現在は、一人ずつ席が分かれており、硬座でも冷暖房完備が主流 板のような背もたれの硬座車両は最近、かなり減りました。現在は、一人ずつ席が分かれており、硬座でも冷暖房完備が主流

高速鉄道網がますます拡大する中国

90年代生まれのWさんは、「高鉄(ガオティエ)」と呼ばれる高速鉄道に慣れている世代の人です。中国では、列車番号がGで始まるものは「高鉄」と呼ばれる中国版新幹線です。Dで始まるものは「動力車」です。D号やG号の高速鉄道は、北京や上海、広州などの主要駅に発着する路線は本数も多く、非常に便利です。例えば、北京〜天津間なら、普通列車で行くと、2時間以上かかりますが、高速鉄道なら約35分です。しかも1日に90本もあります。高速鉄道のチケットは高価ですが、高速鉄道を選ぶ中国人は年々増えているようです。また、高速鉄道網は、中国全土で年々拡大しており、北京〜四川省の成都も約9時間で行けるようになりました。かつては1泊2日かかっていた四川省にその日のうちに到着です。

北京南〜天津を走る高速鉄道。朝6時から午後10時過ぎまで本数も多く、非常に便利です 北京南〜天津を走る高速鉄道。朝6時から午後10時過ぎまで本数も多く、非常に便利です

高速化に慣れてしまった中国の若い世代

ただ、高速鉄道で9時間もかかるような所は、飛行機に乗るほうが早いです。しかも早めに予約すれば、飛行機のほうが高速鉄道より安くなる場合だってあります。若い世代の中国人は、サッサと飛行機で行きそうです。Wさんには、4時間以上も鉄道に乗るということが、想定外なのかもしれません。鉄道に4時間以上は座っていられないのは、高速鉄道や飛行機での移動に慣れてしまった若い世代ではないでしょうか? かつては特急や快速列車で3泊4日かかったところも現在は、2泊3日で行けるようになり、高速鉄道以外の鉄道も高速化が進みました。高速になれてしまった若い世代の中国人には、3泊4日も車中泊をする旅なんて想像できないのでしょうね。中国鉄道ファンとしては、日々遠のいていく、のんびり鉄道旅行の時代が懐かしい!

夜を越える移動の時に乗りたい硬臥車両。2等寝台は、ほどよい値段で快適なので、人気ナンバー1! 夜を越える移動の時に乗りたい硬臥車両。2等寝台は、ほどよい値段で快適なので、人気ナンバー1!