どんどん無くなっていく各駅の緑色列車

中国の鉄道は「高鉄(ガオティエ)」と呼ばれる高速鉄道にシフトが進んで来ています。その分、昔ながらの各駅停車の列車は、どんどん消えていっています。中国の各駅停車といえば、濃い緑色の車体の列車です。最近になって緑色列車の旅を懐かしむ声があがって来ています。今、私は、中国西南部に位置する雲南省の省都、昆明にいます。緑色列車の旅を楽しむためにやって来ました。朝6時50分発、パン枝花行きの6162次列車に乗車します。6162次列車といえば、写真好きの間では大変有名で、珍しい体験をしたい人にはおすすめの列車です。こんなに珍しくて、おもしろい列車は、中国広しと言っても6162次列車だけと言ってもいいぐらいでしょう。

最近は、白い車体の高速車両が増えている 最近は、白い車体の高速車両が増えている

知る人ぞ知る6162次列車とは?

6162次列車は、四川省南部のパン枝花までの全長351キロを約7時間かけて走ります。351キロも乗るのに、料金はたったの39.5元(約671円)! 途中に大きな町は一つもなく、山の中の村を走っていく感じです。これだけでは景色がいい田舎を走る普通の列車です。おもしろいのは、6162次列車は一番前と一番後ろの車両には、座席が一つもないことです。倉庫のようにガランとした車両の中では、乗ってきた沿線沿いの農民が野菜や果物、鶏などを売ります。列車がまるで路上市場のようになります。物売り列車の旅がパン枝花まで続きます。

緑豊かな雲南省にしては、乾いた景色を走っていく 緑豊かな雲南省にしては、乾いた景色を走っていく

物売り車両は、今、どうなっている?

この日のために、私はチェーンを買ってスタンバイ。一番前と一番後ろの車両に張り付いているので、自分の荷物をおいた席にずっといないのは、やはり問題です。しかも各停なので、余計に心配。自分の荷物をチェーンで棚につないで鍵をしておけば、安心です。乗車後、最初に荷物をしっかり棚にロック! まずは、最前列の車両の見学です。運よく私の座席は、二番目の車両でした。「うん? 最前列の車両にも席があるじゃないの! どうなっているの?」。列車員に尋ねたところ「ああ、あの席がない列車は、2017年に終了したの」。ショックで倒れそう。来るのが1年遅かった。ただ、あの席なし車両はなくなったものの、現在は、6号車で農民が野菜や果物を売っていることがわかりました。

6212次列車で見かけた少数民族の苗族の家族 6212次列車で見かけた少数民族の苗族の家族

物売り車両はなくなったけれど、物売り列車は続く

6162次列車は、8時42分に広通北駅に停車します。出発は9時。ここで野菜や果物を持った地元の農民が乗って来ます。売ると、降りてしまうのではなく、このままパン枝花まで乗って、午後3時11分発のパン枝花から昆明行きの列車で折り返してくるそうです。私が乗ったのは、旧正月に近い時期でした。そのせいか普段は乗ってくるはずの農民が乗って来ず、物売り列車を体験できませんでした。そのかわり美しい雲南省の山奥の景色を楽しみました。高速鉄道では、とうてい見ることができない列車員と乗客のわきあいあいとした旅も見せてもらいました。それにしても特色ある緑色列車を見たいなら、できるだけ早く乗らないとダメですね。もう物売り車両は見られなくなりましたが、物売り列車は、まだ続いているので、ぜひ、乗ってみてくださいね。(後編に続く)

旧正月に近い時期だったので、窓にはお正月のおめでたい飾りがあった 旧正月に近い時期だったので、窓にはお正月のおめでたい飾りがあった