黄土高原で見た光景

「しまった! うっかり降りる場所を間違えてしまった。3年前はこんな高層ビルはひとつもなかったもの。あ〜あ、臨夏まで来てしまった・・・」とバスの中で呆然としてしまいました。臨夏は、甘粛省の省都、蘭州の西南部にあるイスラム教徒の回族の町です。甘粛省は、唐や前漢の都がおかれた陝西省西安の西側に位置します。東西に細長い省で、乾いた黄土高原が広がっているところです。このはげ山ばかりの黄土高原の中に突然、現れる巨大な高層マンション群がある町が臨夏です。その高層マンションの数に度肝を抜かれます。いったいどうしてこんなところに、これだけ多くの高層マンションがあるの?

周辺の景色から浮き上がっている高層マンション。 周辺の景色から浮き上がっている高層マンション。

臨夏回族自治州の広河県に行ってきました!

黄土高原は、人口も少なく、ここまで土地が乾いていると農業もいまひとつです。そんな土地に数えきれないほどの高層マンションが立ち並ぶ臨夏が見えてきたのかと勘違いしてしまいました。私の目的地は、臨夏の手前にある広河です。広河は蘭州から高速バスで約2時間のところにある回族の県です。臨夏は臨夏回族自治州にある市で州庁所在地です。中国では市の下に県があります。広河は県なので、臨夏よりもずっと小さな町です。小さくてもメインストリート沿いを歩くと、巨大なモスクが次々と現れるおもしろいところです。

2012年から2015年にかけて、広河はどう変わった?

広河は、人口20万人の牧畜が盛んな土地です。牧畜で有名なので、羊や馬、羊の皮の市があり、そこは大変活気がありますが、風景は、のんびりした農村そのものでした。2012年に初めて行った時は、わずか数軒ある3、4階建ての建物ですら、大きく立派に見えました。今、この広河のメインストリート沿いには、高層マンションがいくつも立ち、大きなショッピングセンターができていました。わずか3年で全く別の町に変わっていました。どうりで、私がバスを降りる場所を間違えたと勘違いするはずです。

広河の山の上から、黄土高原の町を眺めてみた!

2015年の夏に起きた上海証券取引所での株価の大暴落、人件費高騰による外国企業のあいつぐ撤退など、中国経済は大きな衝撃を受けました。北京や上海などの沿岸部の大都市では、資金繰りがつかず、工事が止まったままの建物があるようです。この景気の悪さが内陸の甘粛省では、全く感じられません。広河県の中心部から東に10キロほどの三甲集村で山に登ってみました。はげ山が連なる風景に、かつてはなかった高層マンションが見えました。こんな農村部に、高層マンションの部屋を買うだけの経済力がある人たちが、どれだけいるのだろうと想像してしまいます。黄土高原にも、高層マンションをガンガン建てていく中国人の思考と行動力にただただ、圧倒されてしまいます。