9月に雪が降っていた、国道213号線の旅

20年以上前、まだ9月半ばだと言うのに、雪で真っ白な高原をバスで走ったことがあります。中国西北部に位置する甘粛省は夏はカラッと暑いのですが、秋の訪れが早く、標高が高い南部では9月でも雪が降ることがあります。ボロボロのミニバスには、暖房などなく、おまけに雪まで吹き込んで、死ぬほど寒かった記憶があります。当時、大都市同士を結ぶ区間なら、新しいバスが使われていました。小さな町や村を結ぶ区間となると、日本では間違いなく廃車になっているような古いミニバスになります。私が乗っていたのも、こんなボロバスです。しかし、乗客を見ると、欧米人や日本人などの外国人が目につきます。このバスが走っていたのが国道213号線です。

213号線の禄曲あたりで出会ったチベット族。このあたりは標高3000メートルを越えているので、9月でもこんなに寒そう 213号線の禄曲あたりで出会ったチベット族。このあたりは標高3000メートルを越えているので、9月でもこんなに寒そう

「中国で最も美しい6本の国道!」に選ばれた213号線とは?

2018年1月10日の中国のニュースサイト「今日頭条(今日のトップニュース)」に「中国で最も美しい6本の国道! 全部走れば、中国を半分見たのと同じ!」と言う特集記事が載っていました。この6本の道路に213号線が含まれていました。20年以上も前から景色が美しいことで知られていたので、当然です。213号線は、甘粛省蘭州から始まり、四川省成都を経て、雲南省南部の磨ハン(敢の下に心)までの全長2827キロ。私が乗ったことがあるのは、蘭州から成都の1048キロと雲南省昆明から磨ハンまでの819キロです。乗っていない区間が約1000キロもありますが、それでも213号線の旅では、忘れられないぐらい美しい景色を見ることができました。

213号線の国道から3キロほどはずれる郎木寺の風景。欧米人旅行者には、人気が高い村。私は2回行きましたが、実は、郎木寺の良さがあまりわかりません 213号線の国道から3キロほどはずれる郎木寺の風景。欧米人旅行者には、人気が高い村。私は2回行きましたが、実は、郎木寺の良さがあまりわかりません

213号線の中でもいちおしの甘南チベット族自治州

213号線の出発点の蘭州は、西北部に位置する甘粛省の省都です。213号線が通る甘粛南部は、チベット族が多く住んでいる甘南チベット族自治州です。州の中心である合作市を過ぎると、道路沿いに草原と湿地帯が現れます。若爾蓋まで来ると、このあたりは甘南大草原と呼ばれる草原地帯です。草原にはヤクの姿もあり、バスの窓からどこまでも続く草原を楽しめる場所です。この先は、欧米人旅行者に人気が高い郎木寺、世界遺産の九寨溝に近い松藩です。郎木寺は、チベット仏教の二大宗派の寺院があることで知られています。この二つの寺院を見に、欧米人が集まってきます。蘭州から南下してきた213号線も松藩まで来れば、あと約8時間で成都に到着です。

若爾蓋の大草原。標高3400メートルもあるので雲が近い。写真に見えるのは達扎寺の巡礼路 若爾蓋の大草原。標高3400メートルもあるので雲が近い。写真に見えるのは達扎寺の巡礼路

雲南省の昆明からラオス国境に向かう213号線

213号線も雲南省に入ると穏やかな過ごしやすい気候になります。道路脇もシュロやバナナの樹が目につく熱帯の風景に変わっていきます。90年代、雲南省の省都昆明から景洪までは、約24時間かかりました。私は運悪く36時間もかかってしまったのですが、当時は、24時間ならラッキーでした。現在は、高速道路が完成しています。高速道路に乗れば、約8時間で景洪です。213号線の昆明から先は、プーアール茶の集積地の普アル(さんずいに耳)、タイ族が多く住む景洪と続きます。ラオス国境がある磨ハンに向かって進む213号線は、甘粛、四川、雲南の3省を走る長距離国道です。3省の異なる大自然を楽しめる、おすすめルートです。とにかく長距離なので、好きなところで何泊かしながら、213号線のバスの旅をしてみませんか!

甘南チベット族自治州の合作にあるミラレパ・ラカン 甘南チベット族自治州の合作にあるミラレパ・ラカン