菜の花の中を走る風景が有名な「嘉陽小火車」

菜の花畑を白い蒸気をあげながら走ってくる蒸気機関車。この写真を見ると、どうしても乗ってみたくて中国に来てしまいました。2017年の3月頭、ちょうど1年前の同じ頃に書かれた中国人のブログが目につきました。「切符売場は、朝からスーパー長蛇の列。だから自分は、切符をゲットするのはあきらめた。でも、これが正解だったよ! だって、もし乗れたら、菜の花と機関車の写真を撮れなかったからね」。確かに自分が乗っていたら、この写真は撮れません。それよりも同じ頃に蒸気機関車に乗りに行く私も切符が買えないんじゃないの? この蒸気機関車は、「嘉陽小火車」と呼ばれています。

嘉陽小火車といえば、菜の花! 中国では汽車のことを「火車」と呼びますが、嘉陽の蒸気機関車は、車間わずか76センチの狭軌鉄道なので小火車と呼ばれている 嘉陽小火車といえば、菜の花! 中国では汽車のことを「火車」と呼びますが、嘉陽の蒸気機関車は、車間わずか76センチの狭軌鉄道なので小火車と呼ばれている

嘉陽にないのに「嘉陽小火車」と呼ばれる理由

嘉陽小火車は、四川省成都からバスで約2時間の楽山に近いケン(牛へんに建)為県にあります。2月末から4月頃の菜の花の季節が、嘉陽小火車のベストシーズンです。小火車の観光客用の出発点になっているのは、躍進駅です。躍進駅がある場所は、三井と呼ばれています。小火車があるのはケン為県、出発点は三井。それなのに嘉陽小火車と呼ばれているのは、嘉陽煤鉱業が従業員の通勤や石炭の運搬に使っている機関車だからです。石炭の減産もあり、70年代の姿がそのまま残る沿線の風景は、中国映画やドラマのロケ地としても知られています。会社のための蒸気機関車が、観光に使われるようになり、一大人気観光地になりました。

嘉陽小火車が開通したのは、1958年。躍進駅という名前も社会主義まっしぐらな頃を思い起こさせます 嘉陽小火車が開通したのは、1958年。躍進駅という名前も社会主義まっしぐらな頃を思い起こさせます

中国人以上に厳しい日本人のオンシーズンのチケット事情

楽山の聯運バスターミナルを出発し、私が三井に到着したのは、2017年3月3日の午前11時頃です。土日をさけたのは大正解! 三井の切符売場には、意外なほど並んでいる人の姿もなく、なんとか小火車のチケットをゲット! シーズンオフは、1日5、6往復しかない小火車ですが、菜の花の季節は、午前8時から午後4時まで1時間に1本観光列車があります。中国人は、切符をネット予約できますが、アリペイや中国銀行のカードを持っていない日本人旅行者は、当日券に頼るしかありません。当日券があったのは、午後2時と4時のものだけ。しかし待ち時間が長くても、ゲットできただけでもラッキーです。

三井のチケットオフィス前は、シーズン中はごった返している。写真は平日なのでかなりマシ 三井のチケットオフィス前は、シーズン中はごった返している。写真は平日なのでかなりマシ

計画通りに進めたいけど進まない小火車の旅

躍進駅から終点の黄村井駅までは、約15キロです。午後2時に出発した小汽車は、3時すぎには終点に到着予定です。帰りのチケットは午後3時半発だけ。帰りのチケットなしで黄村井駅周辺をゆっくり観光すると、最悪、線路脇を徒歩で約15キロも歩いて戻ってくるはめになります。小火車のベストシーズンに、当日券に頼るしかない日本人旅行者には、選択肢はないのです。もともと私の計画ではケン為に泊まる予定でしたが、三井に泊まることに変更。三井にはホテルはたった1軒、小火車のチケットオフィスの前にある嘉陽酒店しかありません。特別感のあるホテルではありませんが、値段は少し高め。シーズン中の小火車に乗るってことは、何かにつけ選択肢が限られるということみたいです。

線路脇をバイクも走っていますが、少ないのであてにできないのがつらいところ 線路脇をバイクも走っていますが、少ないのであてにできないのがつらいところ