NHKドキュメンタリーで紹介された「芭石鉄道」

窓ガラスもない鉄の箱のような車両には、野菜を売りに行く村びとたちだけではなく、豚や鶏も乗っています。この車両を引っ張っているのは、懐かしの蒸気機関車です。ああ、ワイワイガヤガヤ村人たちと一緒に、この列車に乗ってみたい。これはNHKのドキュメンタリー番組「地球ドラマチック」の「幸せを運ぶ蒸気機関車〜中国四川省、小さな鉄道と村人たち」の回で紹介された「芭石鉄道」です。日本では、芭石鉄道と紹介されることが多いのですが、中国では「嘉陽小火車」と呼ばれています。日本の鉄道ファンも訪れる嘉陽小火車のベストシーズンは、菜の花が咲く2月下旬から4月いっぱい頃までです。私も菜の花の中を走る蒸気機関車に乗ってみたくて2017年3月3日に行ってきました。

芭石鉄道とは、始発の石渓駅の「石」、終点の手前の芭溝駅の「芭」からきた名前 芭石鉄道とは、始発の石渓駅の「石」、終点の手前の芭溝駅の「芭」からきた名前

観光シーズンは、チケットが手に入らない嘉陽小火車

嘉陽小火車は、四川省楽山市に属するケン為県の中心部からバスで約40分の三井にあります。三井は、嘉陽煤鉱会社が経営する鉱山がある炭鉱の町です。蒸気機関車は、嘉陽煤鉱会社の石炭の運搬や社員の通勤に使われています。嘉陽小火車は、観光列車と普通列車の2種類。おもしろいのは、やはり地元の人と一緒に乗る普通列車です。私が訪れたのは、菜の花真っ盛りの観光シーズンです。普段は、1日5往復しかない嘉陽小火車ですが、この時期だけ朝8時から午後4時まで観光列車が1時間に1本あります。それでも週末は、チケットが手に入りません。早朝7時15分と午後5時15分発の普通列車だけは、チケットなしで乗り、車内で代金を払うシステムになっています。私は、前日、観光列車に乗ったので、翌朝は、いよいよ本命の普通列車です。

まさに炭鉱列車の様相をした普通列車。中には、長椅子が少しあるだけ まさに炭鉱列車の様相をした普通列車。中には、長椅子が少しあるだけ

普通列車が、観光客に人気がある理由

さすが一番の観光シーズンだけあって、チケットなしで乗れる普通列車を狙っている旅行者も相当います。午前7時が近づくと、躍進駅には、大勢の観光客が集まってきました。7時15分、始発の石渓駅からやってきた普通車両に乗ると、村びとよりも観光客のほうがかなり多め。とにかく一眼レフを持った観光客の姿が目につきます。村人はタダですが、観光客は1駅につき5元(約85円)です。1960年代の雰囲気が漂う黄村井や芭溝駅まで行く観光客は少なく、ほとんどが二つ目の蜜蜂岩駅で降ります。大きく湾曲するこの駅が、菜の花の中を走って来る蒸気機関車の写真を撮るベストスポットなっています。

線路を歩いているのは、観光列車のチケットを買えなかった人たち。観光シーズンの週末では、おなじみの風景 線路を歩いているのは、観光列車のチケットを買えなかった人たち。観光シーズンの週末では、おなじみの風景

観光列車と普通列車、どっちがおすすめ?

蜜蜂岩駅に近い丘に登り、蒸気機関車がやってくるのを待ちます。観光シーズンで列車の本数は、倍近く増えているものの大幅に遅れているので、やってくる時間が読めません。ポーと高い音の汽笛が聞こえ、白い煙を上げた蒸気機関車が少しずつ見えてくると、やはり感動! 慌ててシャッターを切っても、あっという間に行ってしまいました。次の機関車を待つ観光客を残し、私は線路を歩いて躍進駅に戻ります。菜の花の咲く線路脇の道は、村びとをのせたバイクも行った来たり。私は、何度も立ち止まって、写真を撮り、菜の花の季節以外は、訪れる人も少ないのどかな風景を楽しみました。嘉陽小火車は、やはり普通列車がおすすめ! 菜の花の季節も普通列車に乗ってみませんか!

機関車が通った後、線路に落ちている石炭を拾う村人。この石炭で充分、食事の支度ができるそう 機関車が通った後、線路に落ちている石炭を拾う村人。この石炭で充分、食事の支度ができるそう