見た目の悪さにめげずに食べる麺

正直言って、見た目はめちゃくちゃ汚いです。食べ物は見ためも味のうちですが、この麺の見た目は、最低です。テーブルに運ばれて来た時は、トッピングの緑豆がさわやかですが、ひとたびまぜると、どうしてこうも汚くなってしまうのでしょう。その姿は、気分が悪くなって吐いてしまったものを連想してしまいます。しかし、一口食べると、初めて体験する味ですが、さっぱりおいしい。そのヘンテコな麺は「漿麺条(ジャンミェンティアオ)」と言います。

混ぜないとさわやかな外見ですが、混ぜると悲惨です 混ぜないとさわやかな外見ですが、混ぜると悲惨です

「漿麺条」の白い汁の正体は?

「漿麺条」は、中華文明発祥の地として知られる河南省の名物麺です。河南省は内陸部と言っても、北京や上海に近く、1億人の人口を抱える大きな省です。漿麺条は、この河南省の各地で食べられていて、私が初めて食べたのは古都、洛陽です。どろっとした白い汁に緑豆、セロリが入った漿麺条の感想は、酸っぱいです。ドロドロの汁の正体は、緑豆で作った豆乳です。これを発酵させたものなので、酸味があります。漿麺条は豆乳麺のようなものです。

「漿麺条」のはじまりはいつ?

漿麺条のはじまりには、いくつか説があります。ひとつは前漢の光武帝(紀元前6〜57年)が、皇帝になる前、貧しい農家に立ち寄って食べたのが始まりという説。別の説では、清朝末期、洛陽一体は貧しく、酸っぱくなった豆乳も捨てずに野菜くずを入れて食べるものだったそうです。ある時、生活に余裕がある家が、その古い豆乳に麺を加えたら、おいしかったという説などです。時代に幅がありすぎるので、いつ、生まれたのかもどこで生まれたのかもわからない料理かもしれません。

「漿麺条」が食べたくなる季節

漿麺条の起源はどうであれ、洛陽一体では、夏になると漿麺条は食べている人が急に増えます。酸味がきいた味付けが、食欲が落ちる夏向きなんでしょう。中に入っている具は、セロリ、緑豆、落花生ぐらいで肉は入っていないので、値段は麺の中でもかなり安いほうです。漿麺条を最初に、知識なしで食べたら「腐りかけた食べ物」と思い、食べるのをやめてしまうかもしれません。でも、漿麺条って、もともとこんな味です。見かけに負けずに食べて続けていると、さわやかな酸味に目覚めるはずですよ!