初めて食べた、青島名物の「ホイ大餅」

名物料理はできれば、けなしたくないです。実際、中国の名物料理の中でも一人旅の私が食べやすい麺や「餅(ビン)」と呼ばれる小麦粉生地を焼いたものは、ほぼ外れなし! それなのに先日、青島ビールで知られる山東省青島で食べた「ホイ(火へんに会)大餅(ダービン)」は、久しぶりのイマイチした。3回目の青島で初めて知った名物料理です。まずいって訳じゃないけれど、何か物足りない。ホイ大餅に似た料理は、中国北部や西北部ではよく見られます。最も有名なのは、陝西省西安の「羊肉泡モー(食へんに莫)」です。この種の料理に外れは少ないので、思いっきり期待して食べたのに、ホイ大餅はおいしいとは言えない味でした。

見た目も味もあっさりしている「ホイ大餅」。四角い豆腐みたいなものが大餅 見た目も味もあっさりしている「ホイ大餅」。四角い豆腐みたいなものが大餅

ドイツ風の街並みと青島の食文化

青島は、日清戦争に敗れた清朝に三国干渉で恩を売ったドイツが、ドイツ風の街並みを作った町です。旧市街にあたる中山路周辺は、天主教堂や旧ドイツ水平倶楽部など、当時を代表する建築物が並んでいます。かつて租界だったところはどこも外国の影響を受け、産業が発達し、お金持ちが集まるせいか、町並みだけでなく食文化もハイカラになっていきます。青島も旧市街に行くと、青島ビールにあう海鮮料理を出す食堂が並んでいます。しかし高級店ではなく下町の食堂なので、そこが港町らしくていい感じです。そしてホイ大餅は、ハイカラな港町や租界とは対照的な地味な食べ物です。

青島名物と言ってもいいビール食堂 青島名物と言ってもいいビール食堂

ホイ大餅と西安の羊肉泡モーの違い

ビール食堂に行ってみたいですが、1人旅では、海鮮料理はトライしにくいので、ホイ大餅にしました。あっさりしょうゆ味の白菜煮込みの中にぶつ切りにしたパンが入っています。西安の羊肉泡モーと違い、このパンのひとかけらが大きい! しかも包丁で切っているので、断面がきれいすぎて、スープを吸っていません。羊肉泡モーのように手でちぎったパンのように、ひとかけらが小さいとスープを吸って、やわらかくなりますが、ホイ大餅はなんとも中途半端。白菜煮込みスープにもアクセントになる唐辛子が欲しい。でも、テーブルの上には唐辛子がなく、他のお客も入れていません。お店のご主人曰く、唐辛子は入れてもいいけど、入れないのが本当の青島の味だそうです。

青島でしか見られないビールの量り売り。ビニール袋に入れてくれる 青島でしか見られないビールの量り売り。ビニール袋に入れてくれる

白菜好きの青島人から見える、もともとの青島の味

青島にはもう一つ「排骨米飯(パイグーミーファン」と言う名物料理があります。これは豚肉スープで白菜を煮込んだもので、あっさりした醤油味です。ホイ大餅の白菜煮込みは、この排骨米飯の白菜煮込みと同じ味。冬の青島に行くと、かつては北京で見られた冬の風物詩が今でも見られます。屋外に一冬の間に食べる白菜が山のように積まれた風景です。青島って、本当に白菜をよく食べる地方です。日清戦争の後、ドイツがやってきて、青島の食文化は大きく変わりました。小さな田舎町だった頃の青島の味って、ホイ大餅のような味だったのではないかしら? 青島に行くなら、ピリ辛が好きな人には物足りない味ですが、ホイ大餅も食べてみませんか?

「排骨米飯」のほうが、ホイ大餅よりも完成した味。ホイ大餅は、白菜煮込みと大餅がいまひとつ合っていない 「排骨米飯」のほうが、ホイ大餅よりも完成した味。ホイ大餅は、白菜煮込みと大餅がいまひとつ合っていない