チベタンマスティフってどんな犬?

青海湖に近い、黒馬河という小さな宿場町に泊まったときのことです。青海湖がある青海省はチベット人が多く住む地域で、チベットの中ではアムド地方にあたります。チベット人は遊牧をしている家はもちろん、遊牧をしていない家でも犬を飼っている家が少なくありません。雑種もいますが、ほとんどの犬はチベタンマスティフと呼ばれる超大型犬です。熊かと思うほど大きな犬で、最近では中国のお金持ちの間でも、非常に人気があります。しかしチベットではお金持ちがスティタスの一つとして飼う犬ではなく、普通の犬なのですが。

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昼間はとってもかわいいチベットの犬

このチベタンマスティフは、昼間はとてもかわいい存在です。いったいこの子は1日何時間寝ているんだろう?と思うほど寝ている子もいれば、うろうろしている子もいます。飼い主がいるのかいないのか、わかりませんが、放し飼いが普通なので、通りのあちこちにこの巨大なチベタンマスティフがいるのです。この子たちは昼間はおとなしいのに、暗くなると活動タイムに入ります。私が早朝、青海省の西寧に戻るバスを待つために黒馬河にある旅館を出たときのことです。真っ黒なチベタンマスティフが突然、私を追いかけてきました。

青海湖に近い宿場町で危機一髪

思わず、私は駆け出してしまいました。これが犬を刺激したのか一層激しく追いかけてきます。とうとう石につまずいて転んでしまいました。振り向くと、ライオンが大きな口をあけて今にも私を食べようとしているかのようでした。「もう、死ぬ〜っ!」と恐怖で声はでないのですが、本当にそう思いました。しかし犬は私を威嚇するだけ威嚇すると、どこかに行ってしまいました。本当に危機一髪で助かりました。

チベットで犬に噛まれたらどうする?

もし、黒馬河であのチベタンマスティフにかまれていたらかなり問題でした。チベットの犬は狂犬病の予防注射など打っていないので、かまれると狂犬病になる恐れがあります。ワクチンを打っていない状態で狂犬病を発症すると、致死率はほぼ100%! かまれたその日に病院に行き、ワクチンを打ってもらわなくてはなりません。その後1か月にあわせて5回ワクチンを打たないとだめなのです。黒馬河の診療所にはワクチンなどなかったでしょう。チベットではとにかく犬と遭遇したら、目を合わせず、走り出さず、自分は目に見えない存在と信じ、しれっと横を通過するのが一番です。