鶏肉“もどき”のはずなのに、鶏の味があまりしない「素鶏」

「これのいったいどこが鶏肉!?」と、思いました。でもたまに上海に行くと、思い出したかのように食べたくなります。それが「素鶏(スージー)」です。「素」は中国語で精進料理という意味。精進料理の鶏肉なので、鶏肉もどきと言おうか鶏肉風食品です。私は素鶏を上海でしか食べたことがありませんが、中国中部から南部にかけての広い地域で食べられている食品だそうです。中国の検索サイト「百度」で調べてみると、「形状を鶏肉に似せた」とありました。これで納得。見た目さえ鶏肉風なら、味には、触れていないので、似ていなくてもいいようです。だって、素鶏って、食感も味も鶏肉とは思えないんです。

やや分厚い油揚げのようなものが素鶏。素鶏は、醤油で煮ることが多いので、色は、茶色 やや分厚い油揚げのようなものが素鶏。素鶏は、醤油で煮ることが多いので、色は、茶色

素鶏は、どこか日本の味を感じました

素鶏の原料は、大豆です。主に「油豆腐皮(ヨウドウフピー)」を使って作られています。素鶏を食べた人は、一口かじった瞬間に「あっ、日本にもある味!」って感じました。油豆腐皮って、ユバです。油豆腐皮や豆腐皮と呼ばれる中国のユバは、日本のものより油分たっぷりです。そのせいか素鶏の食感は、ユバというよりがんもどきに似ています。がんもどきって、しょうゆ煮込みが似合います。上海の素鶏も「紅焼(ホンシャオ)」と呼ばれる、ちょっと甘いしょうゆ煮込みにすることが多いです。

精進料理の食材で作った「カオ(火へんに考)麩麺」。小麦粉のグルテンで作ったカオ麩をのっけたカオ麩麺は、素鶏麺と並んで人気 精進料理の食材で作った「カオ(火へんに考)麩麺」。小麦粉のグルテンで作ったカオ麩をのっけたカオ麩麺は、素鶏麺と並んで人気

素鶏に似ている日本の鶏肉食品

やや厚く切った素鶏の見た目は、最近、日本で注目されている鶏の胸肉ソーセージにちょっと似ています。胸肉ソーセージは、分厚い胸肉を切り開いて薄く伸ばし、ラップで巻いて、ラップごと熱湯でゆでたものです。素鶏は、上海人好みのちょっと甘いしょうゆ煮込みにしているので、濃い茶色になっています。茶色の素鶏と肌色をした胸肉ソーセージの色は、違っていますが、胸肉ソーセージのざらっとした断面は、素鶏を思わせます。この素鶏をトッピングしたものが、上海名物のひとつ、素鶏麺です。

上海で売られているユバで作った肉もどき製品。素鴨、素火腿(ハム)なども人気 上海で売られているユバで作った肉もどき製品。素鴨、素火腿(ハム)なども人気

上海で素鶏を食べてみよう!

上海で様々な麺が食べられる麺館に行くと、素鶏麺は、だいたいどこにでもあります。お昼ごはん時にまわりのお客を見渡すと、食べている人がけっこう多い人気麺です。素鶏を食べるなら、素鶏麺が一番お手軽ですが、レストランの「紅焼素鶏(ホンシャオスージー)」や「醤汁素鶏(ジャンジースージー)」なども食べやすい料理です。中国で一、二を争うほど物価が高い上海で、素鶏を使った料理や麺は、ボリュームがあるのに肉を使ったものよりお安いので、お得感あり! 味も鶏肉を求めなければ、十分どころか、かなりおいしいです。上海に行ったら、素鶏を食べてみませんか! ベジタリアンの人にもおすすめです!