上海っ子が熱愛する白斬鶏への思い入れ

鶏肉のあの黄色い脂が美味しい証拠だったなんて! 私は、鶏肉の皮の黄色い脂って、あまり好きではないどころか、苦手。でも、上海人が大好きな「白斬鶏(バイジャンジー)」では、黄色であることが一番重要だということを初めて知りました。白斬鶏って、ゆで鶏のことです。食をテーマとした中国の雑誌、「悦食」21号(北京悦之年文化伝播有限公司発行)は、1冊まるごと鶏肉料理特集でした。その中の「上海白斬鶏、不黄不完美(上海の白斬鶏は、黄色でなくては、完璧ではない)」という特集を読んでいると、目からうろこ。私が知らなかった白斬鶏に対する上海人の思い入れが見えてきました。

上海では、浦東地区の三林塘の鶏が一番美味しいと言われているが、広東では文昌鶏が一番有名。写真は、文昌鶏 上海では、浦東地区の三林塘の鶏が一番美味しいと言われているが、広東では文昌鶏が一番有名。写真は、文昌鶏

日本人とは異なる、鶏肉の一番美味しいゆで加減

白斬鶏は、しょうが、葱、酒をいれた熱湯でゆでただけの料理です。レストランによって、秘伝のゆで方があるはずですが、ゆですぎず、ちょうど良いところでストップするのが難しそう。ちょうどいいタイミングで熱湯から鶏肉をひきあげると、ジューシーな仕上がりになるそうです。「上海の白斬鶏は、黄色くなくては完璧ではない」特集によると、美味しいタイミングと言うのは、ももの骨の中にある骨髄が、まだ、鮮やかな血の色をしています。日本人には、ゆで方が足りない気がしますが、上海人にとっては、これがベストな状態。「黄色でなくてはいけない」と言うのは、鶏を選ぶ時、爪、くちばし、皮が黄色であることが必須条件。中でも、つやつやの黄色い皮が特に重要だそうです。

ごはんの手前にのっているのが白切鶏。骨と周辺がまだ、赤いのがよくわかる ごはんの手前にのっているのが白切鶏。骨と周辺がまだ、赤いのがよくわかる

嶺南地方になくてはならない白切鶏

広州の「白切鶏(バイジェジー)」もゆで鶏です。白切鶏は、上海ほどではありませんが、黄色い皮にだけは、こだわります。よく肥えて美味しい鶏肉ほど、皮が黄色いようです。広州がある嶺南地方は、五嶺と呼ばれる山の南側で、広東省や広西壮族自治区一帯をさします。香港や広州に行くと、感じますが、嶺南地方の人は、白切鶏が本当に好き。嶺南地方には、白切鶏や叉焼などの調理した肉を売っている専門店があります。お昼や夕ご飯時になると、行列ができ、白切鶏を買う人の多さにびっくりします。また、白切鶏は、お正月と祭事に欠かせない料理です。お供えの中に白切鶏が入っていないと、祖先に対する不敬にあたるだけでなく、その地方の文化を守らなかったことになるそうです。

広西壮族自治区賀州の龍井村のお正月。お供えに鶏は欠かせない。大晦日に食べてしまうそう 広西壮族自治区賀州の龍井村のお正月。お供えに鶏は欠かせない。大晦日に食べてしまうそう

広州で一番美味しい状態の白切鶏が食べられなくなった理由

白切鶏を作る時、重要なのは、ゆで加減です。上海人と同じく、広東人も骨髄液や骨がまだ、赤い状態を美味しいと言います。同じ料理を熱愛している人たちだけに、意見は一致するんですね! 広東省では、鶏インフルエンザの流行後、レストランでも食堂でも経営のため、今まで以上に鶏肉をゆでるようになりました。一番美味しい状態で食べられなくなった広東人は、文句タラタラ。で、「白斬鶏と白切鶏、どっちが好き?」と聞かれたら、私は、断然、白切鶏派! 鶏肉に大きな違いはないので、タレで決まります。白斬鶏は、しょうが、ねぎ、にんにく入りの醤油ダレ、白切鶏は、ねぎ、生姜入りの塩ダレ。この塩ダレが激うま! これほど鶏肉の味をひきたてるタレはありません。白斬鶏と白切鶏、どちらもメジャー料理なので、中国に行ったら、食べ比べてみませんか!

白切鶏のっけごはんにかかっているタレに注目! 生姜とねぎたっぷりの塩ダレ 白切鶏のっけごはんにかかっているタレに注目! 生姜とねぎたっぷりの塩ダレ