上海のレトロでおしゃれな石庫門

中国で一番おしゃれな町と言われる上海で、「石庫門(シークーメン)」と呼ばれる伝統的な家に住んでいる人がいます。石庫門とは中国の江南地方の伝統的な家と西洋の家がまじりあった家のことです。アーチ型の石づくりの門、黒や赤のれんがの壁、瓦屋根などが石庫門の特徴ですが、様々な様式があるようです。一軒家の大きな洋館のような石庫門も、まっすぐストンと建てたマンションのような石庫門も中は木造で小さく分かれています。そのひとつひとつに一家族が住んでいます。

上海の賃貸物件事情。石庫門の部屋を訪ねる 上海の賃貸物件事情。石庫門の部屋を訪ねる

初めて石庫門に住む李さんを訪問!

上海人の友達と一緒に、石庫門に一人で住んでいる李さんの家にお邪魔しました。李宝珍さんは87才。李さんの石庫門は、1930年代に建てられたマンションタイプです。外観はれんが造りの洋風建築です。初めて入る石庫門の中には、使いこまれて黒びかりする木の階段と廊下があり、外観以上に素敵です。石庫門の部屋と言えば多くが1ルームで、中二階付きが一般的です。李宝珍さんの部屋にも中二階がありました。昔はこの1ルームに両親と子供2,3人が住むのがあたり前でした。共同のトイレとシャワーが廊下の端にあります。炊事場も共同で、どの部屋も廊下にガスコンロを置き、ここで調理します。

息子を持つ親はひたすら賃貸生活

李宝珍さんの家は約19平米、家賃は月2000元(約3万6000円)。これは家賃が高い上海で、上海の顔ともいえる南京路に近い場所にあることを思えば、破格の安さです。李宝珍さんの娘さんや息子さんは近所の石庫門に家族3,4人で住んでいます。中国では、結婚する時、男性側は必ず家を用意するという決まりがあります。日本より家の値段が高い上海で、マンションの部屋を買うのは至難の業です。息子を持つ親は貯金するために、今も石庫門の一室に家族全員が住む賃貸生活をしている人もいます。それを思えば、李宝珍さんの暮らしは余裕があります。

住んで初めてわかる石庫門の生活の大変さ

綺麗好きですっきり片付いた李宝珍さんのお部屋はホテルの一室みたい。「石庫門のお部屋って本当に素敵ですね」と何度もほめたら、案内してくれた上海人の友達が怒ってしまいました。友達は石庫門の住人でしたが、今は郊外にマンションを買って住んでいます。「石庫門はいい、いいって言うけどね、いつ誰が訪ねて来て、どんなお土産を持ってきたか、全部隣にわかる暮らしのいったいどこがいいって言うのよ!」確かに。外国人にはレトロで素敵な石庫門も実際に住んでみないと、その大変さがわかりません。ただ、便利な場所にあり、家賃が安いので、石庫門に住み続けたい上海人も多く、今も人気物件なのです。