天へ向かう道をひたすら走る

世界遺産の町、麗江から、金沙江という名の川沿いを、ひたすら北を目指してバスは走っていました。川には黄土色の濁流が物凄い勢いで、川面を踊るようにして流れて行きます。最果てを目指すような自然の厳しさ、道の悪さを体全体で感じます。それに酸素もどんどん薄くなっていきます。目指すのはシャングリラ。ジェームス・ヒルトンというイギリス人作家が『失われた地平線』という小説で描いたユートピアの名前です。それがこの町だというのです。戦前の小説なので、読んだことはないのですが、「シャングリラ」という単語自体はホテルの名前になるほど有名です。桃源郷はどんなところなのでしょうか? 中国政府も小説にあやかって、かつての名前「中甸」をあっさりと変えてしまいました。到着すると、町には民族衣装を着ている少数民族の人が多くいて、たしかに秘境っぽい雰囲気を醸し出していました。

シャングリラの町の少数民族の女性たち シャングリラの町の少数民族の女性たち

町で見つけた日本の珍味。ここから日本に運ばれていたとは……

シャングリラの標高は3288メートル、さすがに3000メートルを超えると、簡単には動けなくなってきます。少し歩いただけで、息が上がってしまうのです。それでもぶらついていると、すごいものを見つけました。『松茸総合交易市場』です。市場の中には、松茸屋さんばかりです。最近松茸は、中国から最も多く輸入されていますが、なるほどなあです。早速かなりお安く買って、近くのレストランに行きました。網がないので鉄板焼きです。しかしそう大量には、食べられるものでもなく、台湾人の若者グループにお裾分けすると大喜びです。「松茸なら知ってます! 日本の珍味なのでしょう?」と若者たちがむさぼり食べてくれました。

これだけ松茸を購入してたったの500円ほど これだけ松茸を購入してたったの500円ほど

高原の温泉プールに行ってみると……

シャングリラはほんの小さな町でした。ゲストハウスに天生橋という温泉のパンフレットを見つけました。ヒマなので、タクシーをチャーターして行くことに。もちろん水着持参です。薄い青色の空が広がる高原地帯を走ります。草しか生えていません。天生橋温泉は川の近くにありました。緑っぽい湯は澄んでいます。気になるのは、底に生えた藻です、ニュルニュルします。温泉は25メートルプールくらいの広さがあるので、軽く泳げます。中国政府が桃源郷として売り出したいシャングリラ……。桃源郷と呼んでいいのかはさておき、標高が高く、冬はとても寒い地域なので、行くのならさわやかな時期の夏がおすすめです。