北京の四合院とは異なる大理の四合院

白壁のふちを囲むように描かれた絵、鮮やかな瑠璃瓦を使った門など、雲南省大理の四合院は、ちょっと変わっています。四合院造りと聞けば、北京の伝統家屋のイメージがある人が多いかもしれません。私もそうでした。北京の「胡同(フートン)」と呼ばれる路地をまわるツアーに参加したことがあります。四合院の家が並ぶ胡同は、昔ながらの北京そのもの。四合院と聞けば、反射的に北京が思い浮かびます。四合院とは、真ん中に「院子(ユェンズ)」と呼ばれる庭があり、周囲に4つの部屋(棟)がある建築様式。実は四合院造りの家は、雲南省でも見られます。それも本当に美しい四合院です。

かつては外国人旅行者のたまり場だった大理古城。現在は、特に中国人に人気が高い観光地になっている かつては外国人旅行者のたまり場だった大理古城。現在は、特に中国人に人気が高い観光地になっている

大理の四合院が優雅に見える理由

中国西南部に位置する雲南省の古都、大理は、アー(さんずいに耳)海と呼ばれる大きな湖の西側に広がっています。大理古城は、大理が南詔国と呼ばれた頃に建設された旧市街です。元代になるとフビライに破壊されましたが、明代の洪武15(1382)年に再建され、全長6キロの城壁に囲まれています。この大理古城の中に、今も多くの四合院が残っています。大理と周辺の四合院の外壁は、どの家を見ても見事に白壁です。白壁の周囲には、風景や植物が描かれています。白壁に絵が描かれた四合院なんて、北京ではお目にかかることはできません。この優雅でのんびりした感じは、まさに生活のリズムがゆったりしている今の雲南省大理にも通じるものがあります。

北京の四合院で見られる一般的な門 北京の四合院で見られる一般的な門

大理で見られる「三坊一照壁」とは?

四合院は、庭を取り囲むように部屋(棟)が配置されていますが、大理やその周辺で見られる四合院は、一角だけ部屋(棟)がありません。その一角には「照壁(影壁)」と言う大きな壁が立っています。北京の四合院にも照壁がありますが、部屋の代わりに照壁があるという四合院はないのです。「中国歴史建築案内(TOTO出版、楼慶西著)」によると、この建築様式を「三坊一照壁」と言うそうです。照壁とは、内部が丸見えにならないようにプライバシーを守るために建てられた大きな壁です。三つの方角に坊(部屋、棟)があり、入り口に照壁が建っているのが、大理周辺の四合院です。また、「四合五天井」と言う様式もあるそうですが、私が見学したのは、どこも三坊一照壁ばかり。こちらのほうが四合五天井様式より多いのかもしれません。

照壁は、別名影壁。北京の照壁にも吉祥を意味する言葉や図柄が彫られているが、大理や巍山の照壁のように全体に絵が描かれているものはない 照壁は、別名影壁。北京の照壁にも吉祥を意味する言葉や図柄が彫られているが、大理や巍山の照壁のように全体に絵が描かれているものはない

北京と大理の四合院の違いとは?

私が訪れた大理や大理から約60キロ離れた巍山の四合院は、門を抜けると、入口には照壁がありました。ここにも外壁と同じように絵が描かれています。照壁の内側に庭があり、正面に主人の部屋があります。大理や巍山は農村でもあるので、家は本当に素朴な感じ。北京の四合院は、平屋ですが、大理や巍山では、2階建てになっています。1階はゆったりと、2階は天井が低く、背が高い人なら圧迫感を感じるほど。白壁の外壁の繊細さと比べると、内部は簡単そのもの。このあたりに首都の北京と農村の大理との違いを感じます。中国の建築好きなら、北京とは異なる様式の四合院を見に大理や巍山に行ってみませんか!

大理や巍山の四合院は、柱間が3間、2階建て 大理や巍山の四合院は、柱間が3間、2階建て