- 浜井幸子
- 京都在住の神戸人。19歳の時、人生初の海外旅行で中国に行き、何が飛び出してくるかわからない中国の魅力にはまる。その後、成都と北京に語学留学し、現在は主に中国の食と旅をテーマに執筆活動中。中国の粉もの文化を中心としたアジアの食が得意分野。著書に「シルクロードおもしろ商人スクラップ」、「中国まんぷくスクラップ」などがある。
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溥儀が天津に住んでいた頃、行ったことがある起士林。こんな歴史建築と現代的な超高層ビル群が共存する風景がおもしろい
ゴージャスで重厚な欧風建築が並ぶ和平路や解放北路を歩いていると、中国じゃないみたい。漢字の看板がなければ、ヨーロッパを旅行中と言っても信じてもらえそうです。北京から高速鉄道でわずか30分のところに位置する天津には、19世紀後半から20世紀にかけて欧米列強の租界がありました。和平路や解放北路は、まさに租界の中核と言える場所です。北京から日帰りで天津に行くと、五大道や解放北路などの租界建築巡りと、清朝最後の皇帝の溥儀が移り住んだ張園や静園を訪れるのがお決まりのコース。この鉄板コースに、ネットで話題になっているものすごく不思議な建物を加えてみました。
浜海図書館は、9号線軌道「市民広場」駅A5出口から徒歩15分
図書館の中に白い球体があり、白い球体を中心に波打っているような曲線が本棚でもあり、ベンチとしても使われています。初めてこの建物の写真を見たとき、実在の建物とは思えなくて「これって模型?」と思ってしまいました。この変わった建物が、天津市浜海新区にある浜海図書館です。海浜新区文化中心(センター)の中にあり、天津中心部から浜海新区へは、軌道9号線で結ばれています。浜海図書館があるのは、軌道9号線「市民広場」駅です。とにかく開発区なので、だだっ広いだけに建物が巨大!モノレールの窓から見える浜海新区文化センターもびっくりするぐらい巨大です。
浜海図書館は月曜休み。開館時間は午前10時から午後9時。ライトアップされる夜に行ってみるのもおすすめ!
浜海図書館は、オランダのロッテルダムを拠点とする建築家集団であるMVRDVの作品の一つ。MVRDVとは事務所を設立した当時のメンバー3人の頭文字をとってつけられました。次々と奇抜なデザインを発表するMVRDVが手掛けた建物は日本にもあります。東京表参道にある商業ビル「GYRE」です。ルービックキューブを思わせるGYREとは違い、浜海図書館は宇宙ステーションのような感じでもあります。とにかく実物を見たくて浜海図書館に行ってみました。天津市民でなくても外国人も中に入ることができます。パスポート検査はありませんが、荷物検査があり、カメラを持っていると中に入れません。私はロッカーにカメラを預けての入館です。
書棚の本がまさか絵だったとは!中国らしい発想に驚く
本当に真ん中に白い球体があり、周囲の本棚がベンチになっていました。まさに写真通り!びっくりしたのは写真では、ぎっしり詰まっているように見えた本棚の本が、実はほとんどが本の絵だったこと。本物の本は、ほんの少し。球体がある大きなフロアの隣にごく普通の図書館があり、本物の本は主にそこにありました。浜海図書館は、中国で最も美しい図書館と言われています。こんな不思議な建物を図書館にしてしまうのが、今の中国のおもしろさ。建築に興味がある人はもちろん、興味がない人でも天津の新名所となった浜海図書館に行ってみませんか!
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