中国独特の建築物「牌楼」とは?

中国を旅行中、目指している名所旧跡は見えないけれど、まるで旅人を迎えてくれているような立派な門に出くわすことがよくあります。この門が見えたら、目的地は、すぐそこ! でも、この建物は、本当は門ではないんです。日本人には、門の一種にしか見えませんが、中国独特の建物で「牌楼(パイロウ)」と言います。寺院、宮殿、古鎮、陵墓などの入り口にあたる場所に建っています。牌楼には、木造と石造があり、デザインはとにかくいろいろ。牌楼は、まさに建物の顔のようなところ。それだけに中国全土どこの名所旧跡を訪れても、おもしろい牌楼が残っています。

北京の国子監の瑠璃瓦(タイル)が貼られた牌楼 北京の国子監の瑠璃瓦(タイル)が貼られた牌楼

おもしろい牌楼がのこっている黄山屯渓

上海に近い安徽省の世界遺産「黄山」観光の起点となるのは、屯渓です。屯渓の旧市街は「屯渓老街(トゥンィーラオジエ)」と呼ばれ、全長1.2キロにも及ぶ商店街です。明代の弘治年間(1488~1505)に書かれた書物によると、もうこの頃には屯渓老街は存在し、「徽商(ホイシャン)」と呼ばれる一大勢力を築いた商人と共に発展してきました。屯渓老街の入り口には、重厚な石造りの牌楼がたっています。また、屯渓から約27キロのところには、「安徽古民居群」で世界遺産に登録されている徽州古城があります。古城の中に入ると、まず目をひくのは、「許国石坊」と名付けられた牌楼です。「東方の凱旋門」と呼ばれているだけに、とにかく立派。屯渓は、重厚な雰囲気の牌楼があつまっているところです。

東方の凱旋門と呼ばれる「許国石坊」。明代の万歴12(1584)年に建てられたもの。別名は、「八脚牌楼」 東方の凱旋門と呼ばれる「許国石坊」。明代の万歴12(1584)年に建てられたもの。別名は、「八脚牌楼」

牌楼に描かれた文字とは?

中国全土に残っている牌楼ですが、北京から離れるほど、個性的なものになっていきます。安徽省より西南の四川省までやってくると、形やデザインがますます個性的と言うより自由? そんな建築スタイルの牌楼にも、他の地方の牌楼と同じように4文字か2文字の漢字が彫り込まれています。個人が建てた牌楼の場合、この文字は、その人が常日頃信条としている言葉です。例えば、明の官僚だった許国が建てた許国石坊には、「巨龍騰飛」、「瑞鶴翔雲」の文字が見えます。前者は皇帝に対する忠誠、後者は、天下泰平を意味していると言われています。

四川省広元市にある昭化古鎮の牌楼。「友孝」の文字が見える 四川省広元市にある昭化古鎮の牌楼。「友孝」の文字が見える

牌楼と門の違いは、どこにある?

個性的でおもしろい牌楼ですが、実は書いている私にも牌楼と門の区別がわかっていません。四川省南部の自貢市富順県の文廟で、赤い石を使って作った非常に珍しい牌楼をみつけました。と、思ったら、これは牌楼ではなく、門。門扉があり、城壁と一体化しているものが門でアーチ型の通行口があっても、門扉がないものが牌楼だと解釈していましたが、門扉がなく、城壁と一体化していない門や門扉や壁がある牌楼もあるのです。牌楼って、本当に自由な建築物なのかもしれません。牌楼は、中国全土、どこに行ってもおもしろいスタイルのものが残っています。名所旧跡巡りの時は、ちょっと気をつけて牌楼を見てみませんか!

自貢市富順県の文廟の門。牌楼との違いが全くわからない 自貢市富順県の文廟の門。牌楼との違いが全くわからない