総距離4077キロメートルの大陸横断鉄道に乗ってシルクロードへ

10数年前、上海か北京から鉄道に乗って、新疆ウイグル自治区の省都ウルムチまで行くのは、旅行者にとって小さな冒険でした。特に上海からウルムチまでは距離にして4077キロメートルもあります。これは2006年の青蔵(チベット)鉄道開通までは、中国国内最長の鉄道旅行でした。寝台車で3泊4日の間、緑豊かな山々から石ころ砂漠に変わっていく景色を楽しむ旅は、まさに大陸横断鉄道の旅です。旅のロマンがいっぱいでした。その3泊4日の間、席が近い中国人と親しくなれるのは、うれしくもあり、またそれが問題でもありました。

昔なつかし中国鉄道旅行は、おすそわけ攻撃に要注意! 昔なつかし中国鉄道旅行は、おすそわけ攻撃に要注意!

昔の中国人にとって、ひとりだけ食べることは恥ずかしいこと?

当時の中国人は今どきの中国人とはかなり違っています。10数年前の中国人って、とにかく近所の席の人に食べ物のおすそわけをしてくれるのです。「吃吧(チーパ)!」とは「さあ、食べて!」と言う意味です。3泊4日の間、「チーパ!」と、どんどんインスタントラーメン、果物、お菓子などをくれます。断っても、断ってもこのチーパ攻撃は止まりません。当時の中国人は自分が何か食べる時は、必ず、周辺の人にもすすめないと恥ずかしいような感覚がありました。自分だけ食べるのは、ケチでかっこ悪いことでした。

外国人客に集中!最強のおすそわけ攻撃

特に日本人は外国人なので、断固として受け取ってもらわないと困るのような勢いで食べ物をすすめられるのです。日本では食べたことがないお菓子や果物もあり、少しなら私も楽しみにしていました。もらってばかりは悪いので、こちらも果物やお菓子をすすめますが、それは受け取ってもらえません。そうなると、3泊4日分、車内弁当を買ったり、食堂車に行ったりする分をひいて、持ち込んだ食料がほとんど減りません。終点のウルムチについたときには、すっかり食べてしまい身軽になっているはずなのに…。それどころか増えていることさえありました。

10数年でこんなに変わった中国鉄道旅行

2014年の今、こんな鉄道旅行も懐かしい思い出になってしまいました。中国人は何か食べるときは、自分ひとりで食べます。当たり前と言えば、当たり前ですが、中国人の個人主義が進みました。しかも、食べた後はすぐ、寝台車の3段ベッドの上段や中段にあがり、全く降りてこない人も増えました。誰とも話さず、ず〜っとスマートフォンをいじっている若者も普通です。かわりゆく景色は今も楽しめますが、暑苦しいほど親切だった中国人との鉄道旅行がなくなったのは寂しい限りです。とはいっても、時々、昔気質の中国人と出会えることがあります。こんな出会いがあれば、中国鉄道旅行はぐっとおもしろくなること、間違いなしです。