観光地の西安に現れた大きな変化

2000年代の初め頃なら11月ともなると、旅行シーズンは、終わり、観光地もガラガラでした。それが2010年を過ぎたあたり頃からだいぶ変わってきました。11月はもちろん、12月でも中国の観光地は、中国人観光客でいっぱい。中国の真ん中あたりに位置する陝西省の西安なんて、シーズンオフがないのでは? 西安は、世界遺産の兵馬俑をはじめ、三蔵法師ゆかりの大雁塔などの名所旧跡が多く、日本人旅行者にも人気の高い都市です。旅行サイトの「トリップアドバイザー」で西安の人気観光地の5位に選ばれた回民街に行くと、大きな変化がありました。妙に「24時間営業」の看板が目につくのです。

トリップアドバイザーでも常に西安の人気観光地の上位にランクインする回民街 トリップアドバイザーでも常に西安の人気観光地の上位にランクインする回民街

ますますパワーアップしている西安の回民街

回民街は、西安の中心部に位置する鼓楼の西北部に位置しています。イスラム教を信仰している回族が多い地区なので、回民街と呼ばれています。南北1キロにも及ぶ通りは、西安名物なら何でも食べられる美食街になっています。通りの両サイドにところてんのような涼粉、ごまだれうどんの麻醤涼皮、柿のペーストを練り込んだ生地を焼いた黄桂柿子餅などの屋台が並んでいます。B級グルメを満喫できる場所は強いですねえ。外国人、中国人を問わず、観光客でごった返しています。24時間営業の看板が目立つようになり、通り全体がぐっとパワーアップしているような感じすらします。

麻醤涼皮は、ラー油とゴマダレベースのタレで食べるうどんのような食べもの 麻醤涼皮は、ラー油とゴマダレベースのタレで食べるうどんのような食べもの

とっても大きい中国版食べログの影響

西安で一番の名物と言えば、「羊肉泡モー(月へんに莫)」です。「餅子(ビンズ)」と呼ばれる素焼きのパンを、手で小さくちぎり、その上に春雨や羊肉が入った牛骨スープをかけたものです。もともと貧しい回族が残り物を利用して作る料理なので、回民街が羊肉泡モーの本場です。回民街には、観光に携わらない回族も多く住んでいます。観光客が訪れる羊肉泡モーのお店は「老孫家」、地元の回族が行くのは「老米家」と決まっていました。それが中国版食べログと言える「大衆点評」ができると、あっという間に老米家にも観光客が訪れるようになりました。

朝ごはんにしては、重すぎる羊肉泡モー。今では、お昼ごはんに食べるのが一般的です 朝ごはんにしては、重すぎる羊肉泡モー。今では、お昼ごはんに食べるのが一般的です

24時間営業は、日本人にとっていい? それとも良くない?

羊肉泡モーは、もともとは朝ごはんです。羊肉泡モーの食堂は、本来なら昼過ぎには閉店です。時代が変わり、昼ごはんに食べる人が増えても午後3時頃には閉店でした。老米家もそんな老舗でした。それが観光客に人気のお店となり、24時間営業に変わりました。取材を通して親しくなった回民街の有力者の盛さんは、老舗の麻醤涼皮屋さんです。盛さんのお店も超がつく人気店ですが、午後4時頃には営業は終了です。盛さんは、老米家のことを「売り切れで終了するから値打ちがあるのに」と言っていました。その盛さんのお店も2015年の秋には、24時間営業に変りました。閉店時間を気にしないですむのは、旅行者には良いことかもしれません。でも、いつでも食べられるというのは、今、食べなくてもいいに繋がります。がんばって食べに行くから、おいしさも感動も倍増の時代に戻ってほしい!

24時間営業になったので、老米家の羊肉泡モーは夜でも食べられる 24時間営業になったので、老米家の羊肉泡モーは夜でも食べられる