まずは、見た目に満足! 辣油好きならはまる「菠菜麺」

翡翠色と言ってもいい、きれいな緑色の麺が出てきただけで、得した気分です。この緑色は、麺生地にペースト状にした、ほうれん草のしぼり汁を混ぜているからです。しかも手打ち! なんだかパスタみたい! 手打ちの幅広麺にトマトと卵炒め、牛肉、セロリ、ジャガイモ、キャベツなどの具をたっぷりかけて、辣油をかけて食べます。この辣油は、「油溌辣子(ヨウポーラーズ)」と呼ばれる西安一帯で食べられている特製の辣油です。辣油の辛みと混ぜ麺好きなら、誰が食べても感動的に美味しいこの麺は、「菠菜麺(ポーツァイミェン」と言います。「菠菜」とは、ほうれん草のことです。こんなに具だくさんで美味しいのに、ほうれん草麺だなんて、名前が簡単すぎて、絶対、損しています。

私のおすすめは、廟后街206号「紅紅餃子麺庄」。小10元(約170円) 私のおすすめは、廟后街206号「紅紅餃子麺庄」。小10元(約170円)

西安を飛び出して、今や中国全土で食べられる「肉夾モー」

この菠菜麺、実は、西安名物です。西安の人なら知っていますが、中国人旅行者でも知っている人は、あまりいません。それぐらいマイナー。と言うのも、西安は、名物料理が非常に多いところです。しかも全国区で有名なものがあるので、菠菜麺は、なかなか思いだしてもらえません。西安名物と言えば、何といっても「肉夾(ロウジャー)モー(食へんに莫)」です。豚バラ肉を醤油や酒、八角を入れて軟らかく煮込みます。とろとろになった豚肉を包丁でたたくように細切れにして、素焼きのモーと呼ばれるパンにはさんだものです。西安版ハンバーガーと言われ、どこで食べても美味しいので、今では中国の大都市ならどこに行っても食べられるほど人気があります。

肉夾モー以外の西安名物ならなんでもそろっている回族街。肉夾モーは、豚肉を使っているので、回族街(ムスリムストリート)にはないけれど、周辺で買うことができる 肉夾モー以外の西安名物ならなんでもそろっている回族街。肉夾モーは、豚肉を使っているので、回族街(ムスリムストリート)にはないけれど、周辺で買うことができる

菠菜麺の前に立ちはだかる、強力な西安名物たち

肉夾モーと並んで、忘れてはいけないのは、「羊肉泡(ヤンロウパオ)モー(食へんに莫)」。「托托(トゥオトゥオー)モー(食へんに莫)」と言う素焼きのパンを手で細かくちぎり、羊のくず肉が入った牛骨スープに入れます。これを春雨と一緒に煮込んだものが羊肉泡モーです。その他にもくず野菜と牛肉団子を煮込んだ「胡辣湯(フーラータン)」、ゴマダレうどんの「芝麻涼皮(ジーマーリャンピー)」も有名。それから辣油とあえて食べる「油溌麺(ヨウポーミェン)」も忘れてはいけない。酸っぱいスープで食べる水餃子の「酸湯水餃(スワンタンシュイジャオ)」もメジャーです。西安名物って、メジャーどころがそろいすぎて、菠菜麺って、まだまだ上位にランキングされない下っ端なんです。

「酸湯水餃」。西安人は、酢と油溌辣子がないと生きていけないと言われるほど、酸っぱくて辛い料理が好き。黒酢の酸味がきいたスープで食べる肉厚の餃子は、西安ならではの名物料理 「酸湯水餃」。西安人は、酢と油溌辣子がないと生きていけないと言われるほど、酸っぱくて辛い料理が好き。黒酢の酸味がきいたスープで食べる肉厚の餃子は、西安ならではの名物料理

菠菜麺が西安名物の理由とは?

それにしても、どうして菠菜麺が西安名物なのかが気になります。中国の検索サイトの「百度」で「菠菜麺」を検索しても出てきませんでしたが、「新編陝西名小吃(三秦出版社、唐代英編著)」に説明がありました。唐代から宮廷では、夏の暑気払いに食べられており、時代とともに民間に伝わったそうです。それで都があった西安の名物になっているんですね。また、菠菜麺を作っているイスラム教徒の回族は、麺料理の達人として中国では知られています。麺の達人が作る、きれいな緑色をした菠菜麺を食べてみませんか! なかなか他の地方では食べられない麺だから、西安で食べておきましょう。西安中心部に近い回族街に行ったら、食べられますよ!

西安は、米を使ったお菓子の名物も多い。きんもくせいの香りをつけた黄色いおはぎにナツメのペーストをのせたお菓子も名物のひとつ 西安は、米を使ったお菓子の名物も多い。きんもくせいの香りをつけた黄色いおはぎにナツメのペーストをのせたお菓子も名物のひとつ