汁麺よりも混ぜ麺が主流の中国西北部

麺を食べる時、私にスープはいらない! 中国で初めて汁なしの混ぜ麺を食べ、そのおいしさに目覚めた時から、麺のスープは、どうでもよくなりました。中国では汁なし麺をよく食べます。中国の食文化は、小麦粉を主食とする北とお米を食べる南で特徴があります。この南北の分かれ目は、陝西省の古都西安の南を東西に走る秦嶺山脈です。秦嶺山脈の北側、特に西北部は、汁麺よりも混ぜ麺をよく食べる地方です。逆に南側では、汁麺が中心なのかといわれると、難しい。広東省あたりでは、圧倒的に汁麺をよく食べますが、南部に位置していても四川省の成都は、担担麺や燃麺など、非常に混ぜ麺の種類が豊富な地方です。

西安名物の牛肉菠菜麺。「菠菜」とは、ほうれん草のこと。ほうれん草を練り込んだ麺の上にかかっている、食べる辣油のようなものが油溌辣子 西安名物の牛肉菠菜麺。「菠菜」とは、ほうれん草のこと。ほうれん草を練り込んだ麺の上にかかっている、食べる辣油のようなものが油溌辣子

混ぜ麺の味を決める調味料とは?

私にとって、汁なしの混ぜ麺の本場と言えば、陝西省の古都西安です。とにかく牛肉サオ(月へんにさんずいなしの澡)子麺、牛肉菠菜麺、削筋、箸頭麺など、混ぜ麺の種類が豊富! これでもかと言うほど混ぜ麺ばかり。混ぜ麺と言えば、スープがないのでタレが命。そのタレが、中国西北部の家庭になくてはならない「油溌辣子(ヨウポーラーズ)」です。日本で言うなら辣油です。粗びきの唐辛子、花椒、八角などが、いっぱい入った具だくさん辣油です。具だくさんなので、食べる時にジャリジャリ感があります。これがおいしい! 西安では、油溌辣子と一緒に食べる麺を「油溌麺(ヨウポミェン)」と呼びます。

西安名物のサオ子干拌麺。小さく切った豆腐、豚肉、じゃがいも、いんげんなどの具だくさん麺 西安名物のサオ子干拌麺。小さく切った豆腐、豚肉、じゃがいも、いんげんなどの具だくさん麺

伝統的な油溌辣油の作り方

油溌辣子の作り方ですが、意外と簡単です。まず、唐辛子、花椒などを粗びきにします。中国では、スパイスを売っているお店でやってくれますよ。フライパンにナタネ油を熱し、軽く煙が上がるほど熱くなったら、火を止めます。そこに粗びきにした唐辛子などを少しずつ加えていき、しっかり混ぜあわせます。最後に黒酢や塩を加える家庭もあるようですが、それはお好みで。一番おいしく出来上がるのは、ナタネ油だそうですが、なければサラダ油でもオッケー。この油溌辣子作りのポイントは、油の温度です。高すぎては、スパイス類が一気に焦げ付いてしまい、香りが引き出されません。かと言って低すぎてもダメです。熱した油から煙が出て、スパイスを加えた時、ジャーッと香ばしい音がすれば成功です。

西安の家庭でもよく食べる油溌チェー麺。家庭で食べる時は、幅広麺に残り物のおかずと油溌辣子をかけて食べる 西安の家庭でもよく食べる油溌チェー麺。家庭で食べる時は、幅広麺に残り物のおかずと油溌辣子をかけて食べる

西安名物のbiangbiang麺とは?

今、西安では「biangbian麺」と言われる、55画もある難しい漢字の麺が人気です。名前が面白いので、2010年頃から西安名物として大々的に売り出し中です。このbiangbiang麺は、幅3、4センチの幅広の手打ち麺に油溌辣子をかけて食べます。どう見ても「油溌チェー(手へんに止)麺」と呼ばれる麺にそっくり。油溌チェー麺って、西安の家庭でも食べられている普通の麺です。名物が普通の麺だとつまらない。それでbiangbiang麺と呼んでいます。また、西安名物の牛肉サオ子麺、牛肉菠菜麺、削筋、箸頭麺、サオ子干拌麺などは、どれも具や麺の形態が麺の名前になっていますが、油溌辣子を入れて食べるので、どれも油溌麺です。油溌麺なら、油溌辣子が味を作ります。油溌辣子って、麺を主食とする西安や西北部では、一番重要な調味料なのです。

写真の一番左に見える緑色の難しい漢字がbiangbiang麺。10年前は、ほとんどなかったのに、今はbiangbiang麺の食堂は非常に多い 写真の一番左に見える緑色の難しい漢字がbiangbiang麺。10年前は、ほとんどなかったのに、今はbiangbiang麺の食堂は非常に多い