日本がイメージする麺は、中国の西北部では少数派?

中国、特に西北部のシルクロードと呼ばれる地方で麺を食べると、普通の麺が少ない気がします。ちょっと変わった形の麺ばかり。普通の麺って、日本でイメージするラーメンのような細長い麺です。私が好きな汁なしの混ぜ麺を選ぶと、普通の麺は、ほとんどない気がします。 幅広麺だったり、コロンと丸まったパスタのような麺、手でちぎった一口サイズの麺などなど。2017年に東京に進出した蘭州名物の「馬子禄牛肉麺」のような普通の麺のほうが、少数派です。最近、中国のインターネットサイトで「麻食(マーシー)」の写真をたまたま見つけました。そしたら、急に食べたくなってきちゃったんです。

「ホイ(火へんに会)麻食」は、煮込み麺 「ホイ(火へんに会)麻食」は、煮込み麺

陝西省の「麻食」と山西省の「猫耳頭」

「麻食」は、シルクロードの出発点、陝西省西安でよく食べられている麺です。麻食は、名前も変わってますが、形もおもしろい。コロンと丸まった一口サイズの麺で、お隣の山西省では、麻食のことを「猫耳頭(マオアートウ)」と呼んでいます。猫の耳と言われたら、似ているかもしれないって程度ですが、麻食よりずっとインパクトがある名前です。だから猫耳頭のほうが中国では、知られています。知名度では猫耳頭に負けている麻食ですが、元代に出版された「飲膳正要」と言う医学書にもその名前が出てくるほど、古くから食べられている麺です。

山西省平遥で食べた猫耳頭。麻食にそっくり。猫耳頭も炒めたり、煮込みにして食べることが多い麺のひとつ 山西省平遥で食べた猫耳頭。麻食にそっくり。猫耳頭も炒めたり、煮込みにして食べることが多い麺のひとつ

コロンとかわいい麻食の作り方

こんな歴史ある麻食ですが、最近、本場の西安でも食べられる食堂が減っています。私が最後に食べたのは、2010年頃です。コロンと可愛い形の麻食は、一口サイズに切った麺生地を台の上で転がすように押して作ります。生地を押しつぶすような感じで丸めると言ったほうがいいかもしれません。こんな形の麺なので、汁麺にするよりも煮込んだり、炒めるほうがあうらしく、土鍋煮込みにした麻食をよく見かけました。汁なし麺好きの私は、ずっと「麻食を見つけたら食べよう」と思って、西安や西北部の町を歩いているのですが、本当に見かけなくなりました。

漢字のおもしろさから注目され、あっという間に広まったビャンビャン麺 漢字のおもしろさから注目され、あっという間に広まったビャンビャン麺

観光地化が進むみ、麻食が消えて行く

麻食は、陝西省の家庭でよく食べられていた麺だそうです。小さくちぎった麺生地を押しつぶすようにして丸める麻食は、食堂で出そうとすると作るのが大変。西安の美食街として知られる回民街で、2000年代頃までは見かけたのですが、最近は、見かけません。観光客が押し寄せる回民街は、北院門町、西羊市街、大皮院などの中心的な通りから周辺の路地まで規模が拡大しています。観光客が増えれば増えるほど、麻食のように作るのが面倒な麺は、消えていくものかもしれません。それでもきっと回民街の片隅の地元っ子向けの食堂に麻食は、残っているはず。西安で麻食を見つけたら、食べてみませんか! 中国の麺の世界の幅広さと麻食の美味しさにはまること間違いなし!

砂鍋麻食。ひとり用の小鍋で煮込んだ麻食は、秋から冬に食べると美味しい 砂鍋麻食。ひとり用の小鍋で煮込んだ麻食は、秋から冬に食べると美味しい