旅行者の人気店と地元っ子の人気店

旅行者に有名なお店と地元の人が行くお店が違うってことは、よくあること。中国の古都、西安では、特にそれが顕著です。2018年5月、中国のニュースサイト「今日頭条」に「西安のとある百年老店、旅行者は食べに行くけれど、地元の人は、いまだかつて行ったことがない」と言うタイトルの記事が載っていました。タイトルを読んだだけで、どのお店の話かピンと来ました。「百年老店」とは、「100年の歴史がある老舗」のことです。西安の名物を出すレストランで「百年老店」と言えば、「老孫家」です。ただ、老孫家は、この記事の通り地元の人の評判はいまいち。私は、老孫家に2回行ったことがあります。本店と支店で食べましたが、2回とも美味しくて私は大満足でした。

回民街の西羊市街にある「老孫家」のご主人。いつも大声をはりあげて、店の前で羊肉泡モーを作っている。この老板が表に出ていると、お客のいりがいい。老孫家本店(碑林区長楽門外東関正街78号) 回民街の西羊市街にある「老孫家」のご主人。いつも大声をはりあげて、店の前で羊肉泡モーを作っている。この老板が表に出ていると、お客のいりがいい。老孫家本店(碑林区長楽門外東関正街78号)

羊肉泡モーとは、いったいどんな料理?

「老孫家」は、西安名物の「羊肉泡モー(食へんに莫)」の専門店です。羊肉泡モーとは、わずかばかりに残った羊肉と堅くなったモーと呼ばれる素焼きのパンを牛骨スープで煮込んだものです。残りものでも美味しく、おなかいっぱいになるように考えて作られたイスラム教徒の回族の料理です。手で小さくちぎったモーを羊肉入りの牛骨スープで煮ると、牛骨スープでモーは、膨れあがり、とにかく腹もちがいい。肉体労働に従事していた回族の朝ごはんが始まりですが、あまりにも重いので、今ではすっかりお昼に食べるのが、普通になっています。

一見、量が多くない羊肉泡モーだが、食べると本当におなかにくる。夜に食べるのはおすすめしない 一見、量が多くない羊肉泡モーだが、食べると本当におなかにくる。夜に食べるのはおすすめしない

西安の地元っ子に人気の「老米家」とは?

老舗の老孫家は「旅行者には有名だけど、地元の人は、いまだかつて行ったことがない」だなんて、評価はぼろくそです。西安の「回民街」で5月21日の記事のタイトルとほとんど同じ言葉を言われたことがあります。「回民街」は、西安中心部のイスラムストリートのことで西安で一番有名な美食街です。西安名物を食べたいなら、とりあえず回民街に行けば、ほぼそろっています。この回民街の一角で商売をしているおじさんと仲良くなり、「回民街で一番美味しい羊肉泡モーのお店を教えてあげようか? 老孫家は、旅行者には有名だけど、地元っ子で行く人はいないよ。地元っ子が好きなのは、老米家だよ」と言われました。

西羊市街にある老米家の本店(碑林区西羊市127号)。お昼ご飯の時間が近づくと、店の前の席が全て埋まってしまうほど元気 西羊市街にある老米家の本店(碑林区西羊市127号)。お昼ご飯の時間が近づくと、店の前の席が全て埋まってしまうほど元気

老米家と老孫家は、どちらが美味しい?

私が老米家を教えてもらった頃、老米家は小さな食堂でした。老米家の羊肉泡モーは、確かに美味しい。でも、老孫家よりも美味しいかと聞かれると、旅行者には比べるのが難しい。何か不満があるとしたら、旅行者が多い老孫家は値段がやや高いぐらい。これが地元の人に人気がない理由では? 今は中国版食べログの「大衆点評」を見てレストランを探すのは、普通です。老米家も旅行者に人気のお店となり、大きな支店もできました。地元の人は、地元の名物料理に対して、愛が深い分、評価が厳しい。日本人の場合、老米家と老孫家はどちらで食べても、損した気分になることは、ほぼなし。回民街散策の際、お店をチェックして、ひらめいたほうに入ってみるのは、いかが?

年を追うごとにパワーアップする回民街。左に老米家の支店が見える 年を追うごとにパワーアップする回民街。左に老米家の支店が見える