- 浜井幸子
- 京都在住の神戸人。19歳の時、人生初の海外旅行で中国に行き、何が飛び出してくるかわからない中国の魅力にはまる。その後、成都と北京に語学留学し、現在は主に中国の食と旅をテーマに執筆活動中。中国の粉もの文化を中心としたアジアの食が得意分野。著書に「シルクロードおもしろ商人スクラップ」、「中国まんぷくスクラップ」などがある。
出発エリアをに変更しました。
豪華な延安ツアーの食事。買い物が少ない国内ツアーもあり、判断しづらい。
何かと話題の中国人の爆買いツアー、日本では爆買いした商品を持った中国人観光客の姿もすっかり見慣れた光景になりました。「中国人って、お金持ちね」なんて目で見ていたら、2016年3月31日のヤフーニュースにこんな記事が出ていました。「パスポートを取り上げられて買い物させられる爆買い格安ツアーの実態」。ガイドさんにパスポートを取り上げられ、銀座で5時間も買い物させられる格安ツアーの内情を紹介したものです。路上に座り込んでいる中国人の姿は、お行儀がいいものではありませんが、それにも理由があったのでした。
中国の旅行社が企画した旅行で、無理矢理買い物させられるツアーは、海外だけではありません。中国国内でもよくあります。最近は、かなり少なくなりましたが、外国人旅行者が参加する日帰り旅行でもありました。例えば、雲南省の省都、昆明から奇岩が見られる石林への日帰り旅行です。土産物屋やライトアップされた洞窟をいくつもまわり、いい加減にしてくれと言いたくなった頃、やっと石林に到着といったものでした。こんな無意味なところに連れて行かれるツアーは、安いツアーに多いのです。
中国の内陸部、陝西省の古都、西安から北部の延安と壺口瀑布への1泊ツアーに参加したことがあります。1泊の宿泊代、朝1回、昼2回、夜1回の食事、観光地の入場料、往復のマイクロバスが全部含まれても400元(約7200円)もかからない激安ツアーでした。どれほど土産物屋に寄るのかとドキドキしていたら、2日目に2軒ほど寄っただけでした。2軒のうち1軒は、レストランです。営業停止中のレストランという変な場所で食事をしていると、突然、掛け軸を持った人が次々現れ、販売が始まりました。ツアーの最後にガイドさんから「みなさん、予想以上にたくさん買い物してくださって、本当にありがとうございます」とお礼を言われました。
というのも、中国ではガイドさんは、契約形態によって異なりますが、固定給がない雇用契約の人がいます。この人たちは土産物屋や観光地からもらうバックマージンが収入です。そのため、かなり無理をしている人もいて、中国各地で問題が起きています。日本への格安爆買いツアーで起きている問題も、これが原因です。最近は、ツアーの宣伝文句に「没有購物(買い物はなし)」をうたっているものも増えてきました。中国の人も買い物ばかり行かされるのはイヤなのです。中国で現地ツアーに参加する時、絶対、買い物したくない人は「没有購物」のツアーに参加するほうがいいですよ。
※記事は掲載日時点での情報であり変更されている可能性もあります。ご了承下さい。(掲載日:2021/01/18)
※旅行前には必ず、外務省の海外安全ホームページで訪問地の安全情報についてご確認ください。
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