日本人がイメージする麺とは違っている「麺片」

お湯が煮えたぎる大鍋に、一口大にちぎった麺が次々と放り込まれていきます。ちぎるのと投げ込むのが同時と言おうか、目にも止まらぬスピードなので、1人前の麺なんて、あっという間にできてしまいます。ゆであがった一口大の麺を穴があいたお玉ですくいあげたら、軽く水を切り、麺を待ち構えている中華鍋に投げ込みます。ジャ〜ッと威勢のいい音が響き渡ります。中華鍋には、少量のスープで炒め煮した状態の野菜や肉が待ち構えています。この中で麺を軽く煮込めば、「麺片(ミェンピェン)」のできあがり!

西寧の麺片は、少量の春雨入りが多いが、これは春雨ナシ。野菜はズッキーニをよく使う 西寧の麺片は、少量の春雨入りが多いが、これは春雨ナシ。野菜はズッキーニをよく使う

麺片が家庭で、よく食べられている理由

麺片は、中国の西北部、陝西省、甘粛省、青海省、新疆ウイグル自治区で食べられている麺料理です。一口大にちぎった麺なので、イタリアのショートパスタのようで、日本人がイメージする長くて細い麺とは異なります。この麺片、小麦粉を主食とする西北部では、麺を出す食堂の人気料理でもあり、家庭料理です。スープを作る必要もなく、残り物の野菜や肉で作れるので、西北部の家庭で一番よく食べる麺と言えば、麺片です。

麺片が、青海省の西寧の名物って本当?

麺片は、西北部では、どこにでもある麺なので、発祥の地はわかりませんが、ごくたまに西寧の名物として紹介されることがあります。西寧は標高2275メートルもある青海省の省都です。チベット族や回族など、少数民族が多い町民族色豊かないい町ですが、とにかく寒い! 標高が高いので、年間を通して気温が低いのです。この寒さが、麺片が生まれた理由だと言われたら、すんなり納得してしまいそうです。麺片は、こんな西寧の冬にぴったりの麺です。各地の麺片の中でも、西寧の麺片は、こってりと重い味付けです。少量のスープで炒め煮しているので、こころなしかスープにとろみがついています。どんぶり一杯の麺片を食べたら、全身ポカポカになりますよ。

麺片は、名物と言うよりも隠れた麺

麺片は、基本は汁なしですが、「烩麺片(ホイミェンピェン)」と言う汁バージョンもあります。汁ありのほうが、汁なしよりややあっさりしていて、こちらも寒い季節の人気麺となっています。麺片は、甘粛省蘭州の牛肉麺、陝西省西安のビャンビャン麺、新疆ウイグル自治区のラグメンのように、その土地を代表する名物麺として紹介されることが、ほとんどない地味な麺です。中国人にとっては、名物と言うよりも家庭料理なんでしょう。こんな麺片ですが、西北部の麺を出す食堂なら、どこでも食べられます。西北部の素朴な家庭料理、麺片を見つけたら、ぜひ、食べてみてくださいね!