切符を買うために訪れた西寧で干拌に出会った

初めて青海省の省都、西寧でその麺を食べたことがきっかけで、中国の麺にはまりました。羊のミンチ肉が入ったソースを麺にかけただけの簡単な麺です。混ぜ麺なのでスープはなし。これだけです。会社を辞めて中国を旅行中、中国の西から2番目の位置にある青海省の西寧にどうしても行かなくちゃいけなくなりました。省都の西寧に行くと、西寧発の鉄道があります。90年代前半は、まだチベットのラサまで続く青蔵鉄道が開通していなかったので、西寧は終点であり、始発の町でした。始発駅は、途中駅に比べて、大都市に行く列車の切符が買いやすい。切符を買うために西寧に行っただけなのに、中国の小麦粉料理にはまるきっかけになるすごい麺に出会ってしまいました。それが「干拌(ガンバン)」です。

90年代に食べた干拌に近いもの。90年代前半は、つけあわせのほうれん草はなかったような? 90年代に食べた干拌に近いもの。90年代前半は、つけあわせのほうれん草はなかったような?

清真食堂の人気麺とは?

青海省は、イスラム教徒の回族やチベット族などの少数民族が多い土地です。省都の西寧には、回族が多いことで知られ、町中に回族が開いた「清真(チンジェン)」と呼ばれるイスラム教徒のための食堂がありました。清真食堂と言えば、粉ものを扱わせると、中国ナンバー1と言われる回族が作る麺を出す食堂です。ここで干拌に出会いました。回族が作る麺と言えば、「蘭州拉麺」とも呼ばれる牛肉麺が有名です。「麺片(ミェンピェン)」と言う、手で一口大にちぎった麺の炒め煮も有名。ちなみに青海省名物は、麺片のほう。初西寧で外国人には知られていない干拌を注文したのには、ちゃんと理由があります。

清真食堂の目印は、緑の看板。緑色の看板が出ているところは回族経営 清真食堂の目印は、緑の看板。緑色の看板が出ているところは回族経営

初西寧で目立たない干拌を食べた理由

西寧で在住の日本人に出会い、「最近、はまっているんだけど、おいしいから食べてみて」と干拌を教えてもらいました。この出会いがなければ、私はこの時、絶対に干拌を食べていません。そのうちに食べたと思いますが、ずっと後でしょう。干拌は、西寧の清真食堂では、メジャーな麺料理です。メジャーな順に並べると、牛肉麺、麺片、干拌? 干拌は、地味な見た目のせいか、青海省を出ると、離れるに従って、清真食堂にあったとしても人気がない麺料理になっていきます。回族が多い甘粛省までなら、上位にランクされるに違いない人気麺なのに。

青海や甘粛一帯の家庭料理でもあり、青海名物でもある麺片 青海や甘粛一帯の家庭料理でもあり、青海名物でもある麺片

見た目とは大きく異なる干拌のお味

干拌の味は、あっさりした見た目とは違い、かなりのピリ辛。胡椒がきいています。薄い色の羊肉入りのあんかけソースからは想像できない辛さです。そしてコシのある回族の手打ち麺。あんかけソースがまとわりついた麺は、さらにもったり重くなっています。「パスタ風だけど、見た目と味が全く違う」と気が付けば、干拌と中国の麺のおもしろさにはまっていました。干拌は、回族の麺の中でも流行がかなりある麺です。90年代、干拌の付け合わせの野菜は、人参ぐらいでした。その後、色どりが良いほうれん草を使う店が一気に増えました。また、ソースに醤油をたっぷり入れるようになり、茶色の濃いソースの食堂が増えています。干拌なんて、日本人には変わった名前の麺ですが、おもしろい味です。青海省に行ったら、干拌を食べてみませんか!

2015年秋に食べた干拌。最近の干拌は、ジャージャー麺風になってきている 2015年秋に食べた干拌。最近の干拌は、ジャージャー麺風になってきている