中央アジアの素朴な雰囲気が残るトゥグルク・チムール廟

青いタイルがあちこち剥がれ落ちた廟と青い空。トゥグルク・チムール廟を見ていると、「本当に中央アジアにいるみたい。シルクロードって、こういうところだよ」と言う気持ちでいっぱいになります。中国の西の端、新疆ウイグル自治区は、西安からローマまで続くシルクロードの一部分です。かつては、区都のウルムチ市ですら、中央アジアの国々のような素朴な雰囲気が感じられましたが、最近は、「ちょっと近代化しすぎた」感があります。バザールの真ん前に建つ大型スーパーのカルフールやバンバン建っている高層ビルなど、現代化されたシルクロードの都市そのものです。トゥグルク・チムール廟があるのは、ウルムチから約700キロ離れた伊寧です。

ひなびた雰囲気がたまらない。シルクロード好きの旅行者のツボを押さえた建築物 ひなびた雰囲気がたまらない。シルクロード好きの旅行者のツボを押さえた建築物

天山北路の都市、伊寧とは、どんな町?

伊寧は、天山山脈の北側に位置する大きな町です。ロシア領になった時代もあり、今でもロシア風の建物が残っています。日本人旅行者に人気が高いトルファンやカシュガルなどは、新疆ウイグル自治区を東西に走る天山山脈の南側にあります。どちらの都市も降水量が極端に少ない砂漠のオアシスの雰囲気ですが、伊寧に行くと、あらっと思うほど、都市の雰囲気が違うんですよ。天山山脈の雪解け水に加え、雨も時々、降るので、とにかく緑が豊か。天山南路の都市に比べて、町並みには、豊かな感じが漂っています。トゥグルク・チムール廟に行く起点の町となるのが、この伊寧です。チムール廟は、伊寧からさらに西北の霍城県にあります。

伊寧の旧市街に残るロシア風の建物 伊寧の旧市街に残るロシア風の建物

チムール廟がある61兵団とは?

霍城県は、清朝の乾隆帝の時代、支配下に入ったイリ地区です。当時の新疆経営の中心として建設されたのが、恵遠城です。目指すトゥグルク・チムール廟は、恵遠城からさらに38キロ離れたカザフスタンとの国境に近い61兵団にあります。新疆には、多くの兵団がありますが、中でも国境に近い伊寧には、兵団が集まっています。トゥグルク・チムール廟は、61団農場と呼ばれる兵団の農場にあります。伊寧から乗ってきたバスを、61団農場の中心部の小さなロータリーで降ります。ナン屋や小さな商店が集まっているロータリーでバイクタクシーを見つけたら、さあ、チムール廟に出発! ポプラ並木が続くのどかな村の風景は、まさにシルクロードの農村です。

トゥグルク・チムール廟の前に立つチムール像 トゥグルク・チムール廟の前に立つチムール像

バイクに乗って、さあ、チムール廟へ!

バイクで5、6分も走れば、トゥグルク・チムール廟に到着! 普段は訪れる人もいないらしく来廟者を見かけると、中から管理人さんが出てきて門をあけてくれます。ここに眠っているチムールは、チャガタイ・ハーン国分裂後に、モンゴル族のイスラム化を進め、モグリスタン・ハーン国を開いた人物です。青い廟は、新疆の最古のイスラム建築の一つと言われています。明るい青のタイルが剥がれ落ち、土がむきだしになったままの姿に、この地の興亡と悠久の歴史を感じます。トゥグルク・チムール廟は、たどり着くまでなかなか大変ですが、目の前に立つと、ここまでの苦労が全て報われたって思える場所ですよ。懐かしのシルクロードの風景好きにもおすすめです。

トゥグルク・チムール廟を横から見たところ。以前は、中に入ることができましたが、現在は入れません トゥグルク・チムール廟を横から見たところ。以前は、中に入ることができましたが、現在は入れません