え!香港にワイナリーがあるって、本当?

「香港にワイナリーがあるらしい」と聞いたときには耳を疑いました。まさかあの狭苦しい香港で?どうやってワインを造っているの?ワイン好きな私は、自分で確かめてみたくて、行ってみることにしました。そのワイナリーの名前は「ザ・エイス・エステイト・ワイナリー」。香港初にして唯一の、ワイン醸造所です。

香港初にして唯一のドメスティックワイナリー見学へ(前編) 香港初にして唯一のドメスティックワイナリー見学へ(前編)

ワイナリーのあるアプレイチャウへ

香港島の南のはずれの鴨脷洲(アプレイチャウ)まで、銅鑼灣(コーズウェイ・ベイ)から671番の路線バスに50分ほど乗ります。アプレイチャウは香港島に隣接する小島で、“世界で最も人口密度の高い島”だそうですが、海辺の街の開放感もあってかさほどごみごみした印象は受けません。終点まで行くと、バスが横付けしたビルの一画に、ワイナリーが入っているのです。運転手に「ザ・エイス・エステイト・ワイナリーはどこですか」と尋ねてもなんのことやらという顔をされましたが、「ワイン?ワイン?」とシンプルに質問すると、「ワインならここ!」と、何の変哲もない目の前のビルを指差しました。バスの運転手にも認知されていることには内心で驚きました。

ビルに入っても、まだワイナリーの存在を信じられなかった……

それにしても、「ここにワイナリーが入っている」ということが、頭ではわかっているのに、どうしても信じられません。おずおずとビルに入り、エレベーターで階上に上がってみます。コンクリートの湿気っぽい床、ひとけのない通路、ワインとはこんなところで造られるのか……?不安な気持ちになりかけたとき、赤ワインの色をしたぶどうのマークの看板が目に留まりました。そこは事務所兼倉庫のようなところだったらしく、中華系の若い女性がPCの前にいました。突然の来訪に驚きながらも、彼女は私の「醸造所の見学をさせてほしい」という希望に快く応じてくれました。事務所兼倉庫の通路を挟んだはす向かいに、醸造所はありました。事務員の女性が扉を開け、ぱっと明かりをつけると、そこにはまったくの別世界がありました!シャンデリアの下に樽がずらりと並び、試飲用のしゃれたカウンターや軽い食事のできるテーブルも設置されています。そっけない工業ビルの一画が、ほんとうに、正真正銘のワイナリーになっていたのです。