香港式ミルクティーのおいしさに感激

香港で初めてミルクティーを飲んだとき、その独特のおいしさに驚きました。単に紅茶に牛乳やクリームを加えただけでは決して出せない、なんともいえない複雑な、それでいて安らげる味わいです。「ナイチャー」と呼ばれる香港式ミルクティーは、ホットではもちろん、風味が薄れやすいアイスティーにしても、その濃厚な魅力はまったく損なわれません。香港人の間では不動の人気を誇る飲み物ですが、欧米人からは評価が低いとも聞き、また驚きました。

香港のミルクティーはなぜおいしい? 香港のミルクティーはなぜおいしい?

コクの正体は「エバミルク」

イギリスの植民地だった香港では、1800年代から居住してきたイギリス人によって紅茶を飲む習慣も持ち込まれました。しかし当時は新鮮な牛乳を入手するのが難しかったため、代わりにエバミルク(無糖練乳)を入れるようになったのです。コンデンスミルク(加糖練乳)はベトナム式コーヒーなどでも用いられますが、香港人はコンデンスミルクよりもエバミルクに砂糖を加えるスタイルを好みました。このエバミルクが、牛乳にはないコクを生み出していたのですね。

まさかプーアル茶までブレンドするとは!

コクのために必要なのは、エバミルクの他に、数種類の茶葉(中国茶のプーアル茶を混ぜることも!)をブレンドして濃く煮出すことです。そして濃厚に煮出したお茶を、口当たりを滑らかにするために木綿の袋で濾します。これでお茶の中に茶葉が残ることがなくなります。香港人は、ミルクティーの口当たりの滑らかさをこよなく愛しているのです。

レトロカフェでは、香港式ミルクティーは花形です

正統派の香港式ミルクティーは、高級ホテルや西洋料理のレストランで供されることはありません。そういうところではイギリス式の紅茶が出てきます。エバミルクの香港式ミルクティーを飲むには、香港大衆グルメの花形「茶餐店(チャーチャンテン。庶民的な大衆食堂)」や昔懐かしい喫茶店へ行きましょう。極限まで濃く煮出した紅茶の渋みがエバミルクのコクと絡み、懐かしくもあり新鮮でもある味わいです。欧米人が「これは紅茶とはいえない」と感じるのも無理ないかもしれませんが、郷に入っては郷に従え。香港の喫茶文化に思いを馳せることができる飲み物だと思いませんか?