「コーヒーの“フルーツ感”を感じてほしい」

小野さんへのインタビューは続きます。上環というサードウェーブコーヒー激戦区に自分のお店を開業した理由は、競争が激しいだけに味をわかっているお客さんが多いから。同業者が集中していれば飲み比べも簡単なので、あちこちに寄ってくれるから、とのことでした。最大の特徴である強い酸味について、質問してみました。オーストラリアのコーヒーは酸味が強く、薄めに作ってたくさん飲むのだそうです。「豆は17グラムと普通より多めに使い、そのぶん水も多くすることで、フルーツ感を出したい」とのことでした。

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コーヒーの風味をレイヤーでゆっくり楽しむ

確かに、ここのコーヒーを飲むと、「コーヒーは“果実(=フルーツ)”なんだ」ということを思い出すのです。濃いコーヒーにも良さがありますが、小野さんには薄めのコーヒーを「“お茶”のように飲んでほしい」というポリシーがあるのです。酸味のコーヒーは、92度くらいの高めの温度で抽出すると個性が出るそうです。それがだんだん冷めてくると、味の雰囲気が変わり、コーヒーをレイヤーで楽しめるのです。本当に、より酸味の輪郭がキリッと際立ってくるように感じました。エスプレッソを立ち飲みで一気に飲んでいくような、ヨーロッパのカフェ文化の対極の楽しみ方ですね。

「コーヒーがテーブルの主役になる」

サードウェーブコーヒーならではのプレゼンテーションについてもお聞きしました。――サーバーからビーカー、そしてグラスへと移し替えて飲む方法はなぜ? 「コーヒーを、何かのついでに飲むのではなく、コーヒーを飲む行為そのものに気持ちが向くからです。茶道のお作法のように、コーヒーが主役になる。また、テーブルに出た時に、ちょうど適切な温度になっているから。カードを添えるのも、同じ理由です」。

そのまま本の栞になりそうな立派なカード付き

注文したコーヒーの「説明書」が添えられてくるお店は、他店でもいくつかありました。ここのカードはそのどこよりも立派なカードです。農園の説明と味と香りの説明(「ブラックカラントやライムの風味」など)がされています。農園のカラー写真が載ったすてきなカードを読みながら飲むと、いっそうおいしく感じられるのです。「こうすることで、サードウェーブコーヒーのやりたいことをわかってもらえるでしょう?」 契約した農園から、ベストシーズンに収穫された豆だけを使っていることがわかります。

他にはないフレッシュな味のファンになりますよ!

サードウェーブコーヒーは、豆の新鮮さが売りです。たいてい2週間ごとに新しい豆を取り寄せるお店が多いようです。ところがこちらは、週に一度という頻度で豆を取り寄せているそうです! だからこそとびきりフレッシュ。新しい豆だからこそ、あの酸味もひたすらさわやかだったのですね。週に一度の取り寄せは大変な苦労だと思います。それでもおいしいコーヒーを提供したいという、小野さんの情熱には感動しました。ぜひシングルオリジンコーヒーを味わいに行ってみてください。一日中楽しめる、おいしいフードも待っていますよ!