食の都といわれる香港は、フレンチも例外ではありません

香港でイチオシのフレンチレストランはどこでしょう? 国際都市である香港は、フランス料理の水準もきわめて高く、私も毎回「次の香港旅行ではどこのフレンチへ行ってみようかな」と考えるのが楽しみなのです。そんな中で、あえて一店だけ選ぶとしたら、私は迷わず「カプリス(Caprice)」を挙げます。長くミシュラン三つ星を保持していましたが、現在(2015年)は星を二つに落としてしまいました。三つ星時代にも行っていて、先日、降格してからは初めて行ってみましたが、「それでもやっぱり、ここは香港フレンチの代名詞だ」との思いを新たにしました。

チェコ製シャンデリアのデザインは中国風 チェコ製シャンデリアのデザインは中国風

日本のデザイナーが手がけたインテリアの意味するもの

まずは内装にご注目ください。カプリスは、フォーシーズンズホテル香港に入っています。香港でも一、二を争う高級ホテルですから、内装は当然、ゴージャスの極み。かといって、ゴテゴテと飾りたてる成金趣味ではなく、直線的でスッキリしています。華やかですがシック、シックだけど華やか、つまりさじ加減が絶妙なのです。目を惹くのは、チェコ製のクリスタルシャンデリア。豪華絢爛ながらもやはり直線的で、中国風なデザインを取り入れています。これらの直線的なインテリア全体から受ける印象は、現代的かつミステリアスな異国情緒。フレンチレストランでありながら「ここは東洋の一角だ」ということを、思い出すのです。この演出は見事としか言いようがありません。インテリアを手がけたのは、なんと日本の会社! 「DESIGN STUDIO SPIN」という世界的に活躍しているデザイン会社なのです。なんだかうれしくなりますね!

無難なおいしさ以上のおいしさがあります

さて肝心のお料理は、ドラマチックな空間にぴったりの、ドラマチックな品々です。素材への飽くなき追求と夢のあるプレゼンテーションは、豊富な人材に支えられていると感じられます。たとえば、私は前菜に「プロヴァンス産トマトのデクリネゾン」を頼んだのですが、これがまさしく「デクリネゾン」! 料理におけるデクリネゾンとは、一つの食材をさまざまな調理形態で楽しむという意味です。赤、青、黄色のトマトがふんだんに盛り付けられたお皿にはトマトのジュレが敷かれ、トマトのガスパチョとトマト味のフォカッチャが別添えに。フレッシュトマトにはバジルのソルベも載っています。これでもかというトマト三昧には、キッチンからの心意気が伝わりました。メイン、チーズ、デザート、テーブルの小菓子まで、この気合いに緩みはまったく見られませんでした。

予約の段階から、ワクワクうれしくなるお店です

予約は早めに入れましょう(私はディナーを当日に予約しようとして数日後まで満席と言われた失敗があります)。日本から予約していきたい場合は、フォーシーズンズホテルのホームページ(日本語ページあり)の予約フォーム(英語)から簡単に予約できます。迅速で丁寧な返信にも、一流ホテルの矜持を感じます。ワイン好きのみならず、甘いものが好きな人も、デザートの完璧さと創意に満ちた盛り付けに感動しますよ!