いわば屋台の集合体。「熟食中心」へ行こう!

物価上昇、そして近年の円安も相まって、香港旅行は昔ほど安上がりではなくなってしまいました。少しでも安く、でもおいしくて、できれば地元の雰囲気も味わいながら食事をしたい。それなら屋台がいいですよね。今では屋外の屋台はだいぶ減ってしまいましたが、屋内で屋台街のように営業する形態の飲食店は、たくさんあります。それが「街市」の中の「熟食中心」です。街市とは市場のこと。生鮮食料品から生活雑貨までがそろった、便利で活気あるビルです。以前は路上営業していた、免許を持つ屋台をそこに集めたものが、熟食中心なのです。ここなら屋台と同じ雰囲気を、雨の多い香港でも雨に降られず楽しめるわけですね。

ひときわ「濃い」場所で、あっさりしたビーフンがおいしい ひときわ「濃い」場所で、あっさりしたビーフンがおいしい

尖沙咀で最も尖沙咀らしくないところ、それが街市

今回ご紹介するのは、ツーリストの特に多いエリア、尖沙咀(チムサーチョイ)にある街市。海防道(Haiphong Rd.)にある、「海防道臨時街市」の熟食中心です。九龍公園に面した海防道の、九龍公園径と交わるあたりに入り口があります。小さな看板が出ていて、市場の関係者ばかりが行き交っています。観光客が入っていっていいのかちょっとだけ不安になりますが、勇気を出してそのまま進みましょう!

まずは街市のムードを堪能(?)しましょう!

熟食中心にたどり着く前に、街市の中を通り抜けます。これがまた、おもしろいんです。アラビア語が踊るムスリムのお店には、皮を剥いだだけの羊が逆さにぶら下がり、魚、野菜、フルーツなどの店が順々に現れます。市場の皆さんは、観光客が肉や魚を買わないことは元からわかっているので、しつこく売りつけたりすることはまずありません。逆に完全無視です。この、透明人間になったような感覚は心地よいです。薄暗い通路は、慣れない人には歩くだけでドキドキかもしれません。暗くてビショビショと濡れた足元、大鍋や傘やバケツが乱雑に置かれ、頭の上を見ると、使い捨てどんぶり容器の詰まった段ボールがうず高く積み上げられています。

昔の香港にタイムスリップした気分も、スパイスになります

たどり着いた熟食中心は、ベタベタのテーブル、ガタガタの椅子、蒸し暑い空気をむなしくかき回す扇風機という、昔ながらの香港の屋台の雰囲気そのまま。私はここで豚肉ときゅうりの入った汁ビーフンを食べました。こんなディープな場所に似合わない、さっぱりした味わい。店のおじさんたちは広東語しか話しませんがニコニコと歓迎してくれました。超大型ブランドショップが軒を連ねるチムサーチョイで、こんなふうに「魔都」の面影を残している場所があるんですよ。こういう、昔ながらの香港らしいムードが好きな人にはおすすめします!