美しい詩を読んでいるようなメニュー……?

「法租界徹底レポ」その2からの続きです。メニューは紙に印刷されて渡されます。それを読んで、またビックリ。「なんのことやら、さっぱりわからない……」。たとえば1月のメニューのトップにはこう記されていました。「金軟寝。黒花。黄花。開胃酒 Golden Pillow.Black Flowers.Yellow Flowers.Aperitif」これは、「モルネーソースの細長い蒸しパン卵黄載せ、ほうれん草、ワスレグサ、きくらげのサラダ添え」という意味なのです。また、1月と4月のメニューに出ていた「西湖。小礼物 West Lake.Small Gifts」は、イベリコハムとこんにゃくを湯葉で巻き、龍井茶(ロンジン茶)と鶏がらスープをかけた一皿です。

リゾットと思いきやパスタ。中華素材の「蝦子」をからめて リゾットと思いきやパスタ。中華素材の「蝦子」をからめて

フュージョンの極み、魔性のレストランです

どうです、このネーミングセンス、そして奇抜な料理は? もっともっと、ご紹介したいメニューばかりなのですが、どれもこれもステキ過ぎて、きりがありません。どの料理も独創的なことはもちろん、一度食べたら決して忘れられないほど、おもしろくておいしいのです。ふつう、フランス料理や中華料理のフルコースを食べたら、「おいしかった。しばらくは満足」ではないでしょうか? でもここの料理は、「おいしかった。また行きたい、またすぐにでも食べたい」と、身もだえするような魅力があるのです。

和の食材も斬新なアレンジで日本人もびっくり

大きな特徴の一つは、フレンチの手法を取り入れた上海料理というのが基本線ながらも、日本やイタリアの食材も使っていることです。日本のさぬきうどんや豆腐を使ったり、お米のリゾットと見せかけて、実はお米の形をしたごく小さなパスタを使っていたり。どこの国の料理という枠にはまらない自由さに満ちています。4月には、ポテトグラタンの周りを海藻、干しエビ、ナマコが取り囲むという、あまりに斬新でついていけない人もいるような一皿もありました。「ついてこられない人はついてこなくていい!」そんな、強気なシェフの声が聞こえてきそうです。(その4に続く)