おそるおそる、メールで取材を申し込んでみると……

「法租界徹底レポ」その3からの続きです。私は、2回目のディナーの予約を入れたときに、サービスの責任者であるクリスさんに取材を申し込みました。事前にメールで「あなたのレストランはユニークすぎる隠れ家レストランなので、取材をして海外旅行のウェブサイトに書いていいものかどうか迷っています。」と送ると、「取材は大歓迎ですよ。評価してくださってありがとうございます。」と快諾してくれました。夜が更け、ディナーのときは満席だったお客さんが引けたあとで、用意しておいたインタビューに答えてくれました。

ある日のデザートは揚げた湯葉と栗のピュレでした ある日のデザートは揚げた湯葉と栗のピュレでした

いよいよ、インタビュー、スタート!

――あなた方は、過去には別の仕事をしていたそうですね。なぜ料理という道を選んだのですか? レストランを開くことで実現したい夢はなんですか? 「このレストランは大学時代の同級生同士で始めました。卒業後、みんな別の仕事をしていましたが(広告業界や金融業界)、ある同級生が、2009年に私に声をかけてくれたんです。料理をやってみたい、シェフになりたいという夢を叶えるためです。私も新しいことをやってみたかったから、すぐに加わりました。新しくておもしろいことをしたかったのです。」

さすが、もとバリバリの広告マン的発想です

――メニューに書かれている、一皿ごとの名前が非常にユニークで、しかも詩的ですよね。このネーミングの狙いはなんですか? 「広告的効果を狙っています。不思議で詩的な料理名から想像を広げ、実際の料理を見たときの驚き、食べたときの驚き、そこへと響き合う効果です。」

驚きの体験を提供したいという野心

――なるほど。ところでこのレストランは、見つけるのがきわめて困難ですよね。住所を聞いたところで、ほぼ役に立たないし。宣伝もしていないし、表に看板も出さない。でも別に秘密クラブとかいうわけでもない。このスタンス自体、非常にユニークだと感じました。これについてはいかがですか? 「すべてが『体験』となるのです。住所を調べて、Googleマップなどで見て一生懸命場所を探し当て、ドアを開けて、そして驚く……先ほどお話しした、このメニューについても同じく、驚きの体験に含まれています。このビルの下の階の様子や、蘭桂坊という土地柄も。『こんなところにこんな店があるのか』という驚き。なにもかもすべて、驚きの体験を提供したいのです。」

なにもかも、彼らの思惑通りのレストランです

インタビューでクリスさんの答えを聞いてみて、彼らの野心は十分に叶えられていると感じました。「彼らが本当にやりたかったことは日々実現している」と、ここへたどり着くまでの壮絶(?)な道のりとコージーな空間、前衛的なのに病みつきになる料理を思い返していました。(その5、最終回に続く)