「次はどんなワイン?」楽しみでたまりません

「香港一の広東料理と名高い『龍景軒』。6年ぶりの再訪でますます大ファンになりました!」その2からの続きです。一方、マリアージュ・ディナーの面目躍如たるワインのラインナップは、前回に来たときよりもさらにパワーアップしていました。1杯目の白は、中国産ワイン。新疆のマスカットを使ったドライな口当たりです。2杯目の白は甘めなドイツ産、3杯目の白はミディアムドライなスペイン産シェリー。ここまでで海老やハタを使った料理が終わり、メインの和牛にはイタリア・トスカーナのあっさりした赤を合わせます。そして例の洋梨のデザートには、フランス産のデザートワインがつきました。

地味な見た目に反して、滋味たっぷりなスープ、その1 地味な見た目に反して、滋味たっぷりなスープ、その1

通りいっぺんのマリアージュで済むはずがありません……!

この中では、初めて飲んだ中国産ワインが予想以上においしかったことと、ペドロ・ヒメネスを使ったシェリーの複雑きわまる味わいが、とくに印象に残りました。ふつう、コースが進むに従って徐々に重口なワインを選ぶものですが、この組み立てでは、ハタに合わせたシェリーがもっとも“曲者”な味で、和牛のソテーに合わせる赤はむしろ香りもあまり立たない、あっさりしたものだったのです。この、攻めのチョイスは実に痛快でした。

海老の火通しのよさもさることながら、青菜のシャキシャキぶりにも意表を突かれました 海老の火通しのよさもさることながら、青菜のシャキシャキぶりにも意表を突かれました

「コースディナー」の先入観が次々崩れていきます

「その2」で書いたように、スープ2回&定番のチャーハンなし、という攻めの構成にも本当に驚きました。3品目にウズラと鴨肉のとろみのあるスープが出て、メインの和牛のあとにまたも、シグネチャーメニューのひとつでもある海老ワンタンスープが。しかし、ロンキーヒンの海老ワンタンスープが出て「またスープ?」なんて思う人は決していませんものね。中華のコースというのはフレンチのコースとちがって自由なものですが、それにしても本当にここは自由です。おそらくシェフにとっては“メイン”という意識もあまりないように思います。

とろみのついた料理が続いても、まったく飽きることがありません とろみのついた料理が続いても、まったく飽きることがありません

デザートのあとの小菓子もビックリするほどおいしい……

サービススタッフの接客も、以前よりぐんと若々しく、はつらつとしています。このレストランでサーブする喜びを、ゲストにも感じさせてくれます。一緒に行った息子(フレンチのコックです)が、すばらしいディナーだったと言うと、スタッフの女性は「よければお土産にどうぞ」と、お茶と一緒に供された小菓子のレシピを封筒に入れてくれたんですよ。息子がコックなので興味を持つと思ったのでしょう。ほんのちょっとしたことですが嬉しいですよね。

和牛は以前と同じ。これも微妙にとろみをからめています 和牛は以前と同じ。これも微妙にとろみをからめています

ランチ? ディナー? 香港トップの味をお楽しみください

久々に再訪してみて、やっぱりここは香港で一番の中華レストランだとつくづく思いました。この記事を読んで興味を持たれたあなた。香港旅行が決まったら、何をおいてもまずこのレストランの予約をしてください。ランチもいいですけど、(しつこいですが)私のおすすめはやっぱりマリアージュ・ディナーですよ!

スープその2、この海老ワンタンスープは思い出に残る味わいですよ スープその2、この海老ワンタンスープは思い出に残る味わいですよ